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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL CAN WAIT
94/301

89:暴力

 一瞬の勝利に会場は静まり返り、その後しばらくして()()()()()()()となった。


「きゃはははは! おっもしろいのだ!」


 突然現れた小さな女の子。私も小さいけど……私なんかよりもずっと小さい……なのに、この圧力(けはい)は…………!


「Sリーグ選手のリューリーちゃんなのだ! 以後お見知りおきをー!」


 やっぱりSリーグ選手……なんで? なんで、こんなとこに……。


「今日はSリーグ開催じゃないから安心するのだ! リューリーちゃんはSリーグ入りする二人をお祝いに来ただけなのだ!」


 そんなこと言いながら今、何人殺したの? 観客をその小さな手で簡単に壊して……あれ、観客だけじゃない? 武器持って向かってた人たちまで簡単に……うう、ヤバイ、頭が動かない! なんであんなに簡単に()()()()()()殺せるの? 相手の強さとか関係ないくらいに強いの? まさか、スカーレットより……。


「おい、ソドム……やべぇぜ! 逃げるぞ!」

「あ……うん。うん、そうだよね」


 ありがとうメメメス、声かけてくれて。メメメスはやっぱり強いね。


「あー逃げていいのか? Sリーグ選手になればリドルゴとかいうやつは生き返るのに! ()()()すればそんなこと簡単なのに! もったいないのだー!」

「え……」

「たーだーしー! Sリーグに行けるのは二人のうち一人なのだ! なぜならおまえら二人で()()()()()()()()()()()()をリューリーちゃんがぶっ殺しちゃうからなのだ! さぁ! 戦うのだ! 戦わないと二人ともぶっ殺すのだ!」


 メメメス……。そんな目で私を見ない……いや、見るよね。だってリドルゴさんが生き返るんだもんね。


「ソドム、すまねぇ」

「うん、いいよ。だってさ、大切な人でしょ?」


 今あまり語ったらダメだ。ダメなんだ。


「すまねぇ、ソドム、すまねぇ」


 そっと()()()()()()()()()が私の喉に触れた。金属製だから、冷たいね。


「うひひ、メメメス。そんなゆっくりじゃ、いくら()()()()()だからって蹴飛ばせちゃうよ?」

「すまねぇ……」

「お願いメメメス、私を倒したらラヴちゃんたちと一緒に……博士を助ける方法を探して」

「今こんな事言うと綺麗事になっちまうが、私は、おまえが博士を救った後は……おまえをS()()()()()()()()()()()()()()と願うつもりだったんだ」


 それ、返事になってないよ。ほら、落ち着いて。


「うん、ありがとうメメメス。でも気にしないで。今、ここを二人で切り抜ける方法はない。逆らえば二人とも殺される。だから、だから、悔しくて悲しいけど私達の想いをつなげるには、この方法しかないんだよ。だから私に勝って、博士を助ける方法を探すって約束して」

「…………………………………………わかった」


 泣かないでよ、メメメス。


「きゃはー! きゃはー! これは面白いのだ! 二人ともキメキメすぎなのだ! ドラマチックなのだー!」


 Sリーグ選手はコード404で守られている。だから私達ではどうしようもできない。下手に逆らって二人とも殺されるより……。


「ソドム、負けを宣言してくれ……」

「だめなのだ! ちゃんと勝者は敗者を殺すのだ! リューリーちゃんはそれが見たいのだ!」


 さっきは負けたほうをぶっ殺すって言ってたくせに、めちゃくちゃだ。はぁ……。


「いいよ、メメメスお願い」

「できねぇ……」

「いいから! あんなやつに殺されるよりよっぽど――!」

「できねぇよ……そんな簡単に、死を受け入れるなよ」

 

 だってねメメメス、私が生き残れば博士だけが助かる。でもメメメスが、メメメスが生き残ればリドルゴさんも助かって、博士が助かる可能性……は少し……だけ……少しだけでも残るでしょ? ラヴちゃんもいる、狂姫(きょうき)さんもいる。だから、なんとかなるって、()()をもってよ!


「メメメス」

「無理だ……お前を殺すなん――――」

「私を殺してよメメメス! 私は怖くないから」

「怖くないなんて……おまえ全然そんな顔してねぇじゃねぇか!」


 お願い、私が生きたいと、生きたいと叫ぶ前に! お願い! こんな覚悟なんて、決まっちゃったときしか決めれないんだから! はやく……。はやく…………ねぇ、博士……どうしたらいいの?

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