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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL CAN WAIT
92/301

87:クロイキョウキ

 私が見せられた映像は、今起きていることなのか、それとも少し前のものなのか。ただ確実にわかるのは、これは、私があの街を出た後のこと――――。


「ゴモラ67ではSリーグ開催後、人間判定通過者に対する恨みが爆発、このようなことになりました。完全な逆恨みですね」

「なんで! 博士も狂姫(きょうき)さんも街を守ったじゃない!」

「それが逆恨みです」


 ボロボロになった博士と私の家。そして壁を背に守られるように眠っている博士と……家よりボロボロな姿で立つ真っ黒な髪の狂姫(きょうき)さん。周りに倒れている人数は多い……これだけの人数を一人で……。


「決勝戦が延期になったことを含めると……ラヴちゃんの計算では、()()()()()()だろうとのことです」

「そんな……私のせいで」


 私が怪我しなければ。いや、そんなことじゃない。延期になった時点で、どうして私は二人のことを心配しなかったのか!


「私、勝つ……殺してでも」

「はい、お願いします」


 泣いても、喚いてもダメだ。気持ちを研ぎ澄まして、勝つんだ。


狂姫(きょうき)さん……私、勝って帰るから。あと少し、お願いします」


 狂姫(きょうき)さんは、次の敵に備えているのだろうか。(映像の中に動いている人は見当たらないけど、全く気を抜いていない。)


「では、今度はこちらの映像を」

「これは……」

()()()()が数日前、複数の人間に襲撃された時の映像です。決勝戦の相手は双子、リングに上がってくるのが()()()()()()()、参考になるでしょう」

「二人を相手にするつもりで戦えってことだね」

「はい」


 狂姫(きょうき)さんの戦い方は、とても丁寧だった。ダメージを最小限に抑え、博士を守る。


「あ!」

「今のは、()()()()()()()()()()()()()攻撃ですね。タッグマッチは相棒を尊重しようとした結果、負けることもある。よく覚えておいてください」

「…………」


 こみ上げる感情、だめだ。今私は感情的になったらいけない。参考に、参考にするんだ。狂姫(きょうき)さんの戦い方を。


「博士……」


 博士が目覚め、銃を取り出して撃つ。手が震えてる……だいぶつらそう……。(博士はもっと軽々と銃を撃つはず。)


「参考になりますか?」

「うん……うん」


 涙でくもらないように、()()()()私。これは博士と狂姫(きょうき)さんが命がけで私に、戦い方を教えてくれているのだから。


「この話を()()()するのはちょっと意地が悪い気もしますが……先日ゴモラ67にソドム-B、C、F、Jが救援に向かいました。それなりの手練なので、延命くらいはできるでしょう」

「え……」

「ああ、誰がB、C、F、Jなのかわからないことは気にしないでください。ソドム-Y、今あなたこそがこの街のソドムなのですから」


 もう泣くのはやめにしよう。決勝戦まで、強い心をしっかり持とう。

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