82:タイムリミット
先に出場するのはメメメス。相手を見て、私達は現場で決めた。
『リバティの素早い攻撃! 躱すメメメスも相当な腕前だ!』
剣碗のリバティ。私のように両腕が金属、でも手はない。代わりに生えているのは、剣。確かにあの速度はメメメスじゃないと見切れない。
「メメメス、がんばれ!」
紙一重で避けてるのは無駄な動きをして体力を消耗しないため? ああ、メメメスの両目があちこちに動いてる……全力でクロックアップしてるんだ!
『おおおおおおお! すごいぞメメメス! 見事な体捌きでリバティの右腕を破壊だあああああああああああ!』
「やった!」
す、すごい! 絡みついて相手の腕を壊した!
『リバティがぶらりとぶら下がった右腕を躊躇なくちぎる! 開始早々すごい試合だぁああああああああああ!』
危険度の高い、リバティの両腕。それを壊すのがメメメスの役。あと一本! メメメスならいける!
「メメメスいけぇえええええええええええ!」
その時、私の頭になぜか、あの日の狂姫さんの姿が思い浮かんだ。スカーレットに右足をやられた狂姫さんが――――。
『切断! 今度はメメメスの腕がやられたぞぉおおおおおおおおおおおおお!』
「そんな…………メメメス!」
『生身の腕にこれはキツイ! リバティ一気に優勢だぁあああああああああああ!』
ああ、メメメスの血が……赤く見えない……。真っ黒だ。
「来るなソドム! 反則負けになる!」
「あ……」
そっか、今私がリングに入っちゃったら……。でも、メメメス、血が、すごく、すごく!
『柔軟な体を活かしてリバティの右腕を奪ったメメメスがっ! 今度は自身の右腕に生命を奪われかけている! さぁ! どうでる! あの出血ではそう長く持たないぞ!』
うるさいよ、そんな説明しないでよ! 相手が、相手がそれに気がついたらどうするの!
『ああ! メメメスが倒された! リバティ自慢のソードは使わず予想外の足払いっ! そして押さえつけだ! いや! ソードを腹に突き刺してっ……リングに串刺しだぁあああああああ!』
「黙れぇ!」
意味がない、こんなところで叫んでたって意味がない。
『おおっとソドム-Y! ここで入ったら反則負けだぞ! それでも友を助けるのかぁああああ!』
「う……」
メメメス、メメメス……。
「くるんじゃねぇソドム! 私がっ、なんとかするっ! げほっ!」
「でもっ!」
行けば負ける。行けば負ける。でも行かなきゃメメメスが殺される……。




