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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL CAN WAIT
80/301

75:視線

 うどんはうどんである。それが真理だ。


「ん、汁も美味しい!」


 口をつけ器をかたむけ、一滴残らず飲み干すラヴちゃんの真似をして飲みはじめてみたら、もうこれがほんと! ほんと! とまらない!


「ねぇ、あの人達って……」


 ん? 一つ離れた席の二人組が私達をチラチラ見てる。


「……たちだよね……すごい試合した……」

「うん……まちがいないあの二人」


 どうやら私達が()()だって気がついてるみたい。


「どうしたんですぅ、ソドム-Y。急に飲むのやめて」

「あ、なんかあっちの人たちが私達のこと知ってるみたいだから……」


 さすがに、小声。


「まぁ、あのゲェムは人気ですからねぇ」

「ちょ、声大きいよラヴちゃん。気づかれちゃう」

「気づかれてるのはむしろこっちですよぉ」

「そうそう、こういう時は無視するかファンサービスするかだぜ」


 知らない人と目があった時に、ニッコリ笑うメメメス。あ……なんか知らない人たち嬉しそう。ってうわ! 来た! こっち来た! 知らない人たちこっち来た!


「あ、あの……DEATH(デス)()GIRL(ガール)()DEATH(デス)のお二人ですよね?」

「ん、そうだぜ。ああ、待っててやるからうどん食べてこいよ。のびちゃもったいないぜ?」


 め、メメメス対応力高い! めっちゃ高い!


「は、はい! ありがとうございます!」


 席に戻ったその子達は「めっちゃいい人だね」って話をし、少し急いでうどんを食べた。


「外で話そうぜ、お店に迷惑かけちゃいけねぇし」


 メメメス……すごい。気遣いはんぱない……。(私はまだなにも喋ってない。)


「あ、あの……ソドム-Y、さんですよね」

「う、うん……そうだけど」

「ああああ! 幸せです! 私あなたの大ファンで!」


 うわ! いきなり手握ってきた! すごい! すごいよ! 前はこんなファン、一人もいなかったのに!


「ソドム-Yさんって最高ですよね! あの凶暴なファイトスタイル! 相手のことを微塵も気にしない凶暴性! タッグマッチなのに一人で戦ってるってかんじ――あ」


 思いっきり()()()()って顔してるね……。うん、失言だよそれ。


「すい……ません! 私ファン失格ですね! すいませんっ……すいませんっ」

「え、ちょっと」


 メメメス、助けて……ああ、ええ、メメメスもうひとりの子と話しこんじゃってるし、ラヴちゃんもなんかそっちにいるし。


「わ……私失礼ですよね。死んだほうがいいですよね」

「そ、そんなことないよ」


 そんなこと言われたらそう言うしか、ないよね……。って、うわ……泣き出したし……。


「嬉しいです! 嬉しいです! ソドム-Yさんって試合の時と普段ぜんぜん違うんですね! ますますファンになっちゃいます!」

「あ、そ、そうかな? あ、ありがと」


 う、嬉し涙なのかな? はぁ、嬉しいけどどう応えたらいいかわからないよ。

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