70:痛くて意識がはっきりするまで
今日は私達の二戦目。ああ、あと何回戦えばいいんだっけ……。
「ねぇ……メメメス」
「ん?」
私はなんか最近ぼんやりしてしまって、あと何回戦えばいいかわかっていないんだ。うん、あと何回戦えば……博士を……。
「なんでもない」
「そっか」
メメメスに聞けばあと何回かわかるけど、今じゃなくていいよね。
「もうゴングだぜ。本当におまえだけでいいのか?」
「うん、今日ダメな日でしょ? ラヴちゃんの言うこと、聞かなきゃ」
「すまねぇ、頼むぜ」
えっと今日の相手は強いのかな。うひひ、なんだか楽しくなってきちゃった。
『試合開始!』
ゴングの音っていいよね。だって殴っていいっていう許可だもん!
『すごい! すごいぞソドム-Y! 相手のパンチをものともせず強引に潜り込んでクリーンヒットォ!』
「あれ?」
『っと、ここはさすがサブミッションのジェイサー! ソドム-Yの腕をとり一瞬で倒しっ……いや! ソドム-Y強引にそのまま打っていったぁああああああああ!』
あぶないあぶない。でもなんか今日の人、弱――――。
『おおっと、ここでタッチ交代だ! ジェイサーに代わってスピニーがリングイン!』
「え、嘘……それ反則じゃ」
「金属の腕がOKでこれがだめな理由は?」
痛ぁ! ちょ、ちょ! 武器ありなの!
『さすが鞭打ちスピニー! 見事なウィップさばきだ!』
「わ、私にも武器ちょうだいよ!」
『おおっとソドム-Yが無茶な主張! 認可済み装備以外は使えないのを知らないのか! ルールを覚えてないのか!』
うわ、私の声拾われてるの? っていうか認可済み装備ってなに!
「痛っ! 痛っ!」
最悪だ、目を狙われてる……! ってあの鞭……腕とつながってる? あ、そういうこと……。確かに私の腕も似たようなもの……じゃなーい!
「はぁあああ! もう!」
『ソドム-Y! 鞭を顔面で受けて掴んだぁ! 怖いもの知らずかぁ!』
「いてて……引きちぎってやる!」
はぁ、なんか痛くて意識がはっきりしてきたよ。ハローナノマシンハローって感じ。(私の中のナノマシンがたぎった気がした。)
『おおっと! ここでスピニータッチ、ジェイサーに交代だ! ソドム-Y鞭から手を離ささないと反則になるぞ!』
「え! ずるい!」
やっぱり反則だよ! 鞭長いから掴んでもリングの中自由に動きたい放題じゃん!
「ソドム! 避けろ!」
「うあ!」
交代のタイミングでスピニーの影からジェイサー! ああ、もう! この卑怯者コンビ!




