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ソドム・パラノイア  作者: Y
heaven can wait
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6:レギュレーション・タイム

 多分だけどメメメスの狙いはこの後のレギュレーション・タイムだ……。ああ、もうどうしよう! 今日私、負けちゃうのかな。


「さぁて! レギュレーション・タイムが来たぜぇ! ルールを決めるのはお前らだっ!」


 モニターに流れているのは、()()()()()()()()()()()()。この中で、最も高い金額とともに指定されたルール上位三つがこの試合に適用される。うわぁ、私に不利なルールばっかりだ……。まぁメメメスが出てきた時点でそうなると思ってたけどさ、さっきみたいなこと言われたら余計にそうなるよね。


『青コーナーからの入場者は手と足を使ってはならない』¥201,600-

『ソドムは試合開始三分間は相手を攻撃してはならない』¥66,000-

『服を含む防具の使用禁止 ※ソドムのみ』¥12,200-


 もうこれいじめだよ。メメメスと当たるのは始めてだけど、本当にやりづらい。というかさ、防具なんて最初からつけてないよね、つまり脱げってことだよね。


「どうされますか?」


 ルールの募集タイムが終わると、メイドさんが私にマイクを向ける。そう、私達プレイヤーには拒否権がある。両者合意ではじめて採用ってわけ。はぁ、ルールを承認したらこの()()()()()()()()()()んだけどなぁ。ほしいけど仕方ないか……。博士、ごめんね。


「全部拒否します。」

「メメメスさんは、どうされますか?」

「メメメスも拒否します! こんなのソドムさんが可哀想ですから……」


 モニターに流れるコメントは、私への批判とメメメスへの賛美。


『メメメスちゃん天使』

『ソドムは遠慮しろ』

『メメメスちゃんが優しさで放棄したお金は次の試合で俺が振り込む』


 まぁそうだよね、ここでメメメスが拒否しなければ、()()()()()()()()()()()()()()()()()はずだったんだから。なんかこれ、先にマイク向けられる方が不利だよね……。


『ここでお礼言えないとか育ち悪すぎ』

『ソドムはタヒね』

『ソドムちゃんは両腕もいでOK』

『今日の試合いらない子が一人いるよな』

 

 レギュレーションタイムが終わったら無料でコメントできるとはいえ……みんな言い過ぎだよ。はぁ、ムカつくなぁ、あなたたちなんかにこの腕の大切さわからないでしょ!


「さぁて! 今日はノールール! 試合開始だっ! ファイッ!」


 え? 今ゴング? 雑すぎない? 


「ぐぶっ!」


 いきなり試合を始められたせいで、私は出遅れた。


「あうっ!」


 お腹に拳を一発、膝に対して真っ直ぐな蹴りを一発。そうだ、メメメスって結構ガチの打撃系――――!(だから人気あるんだよなぁ。)


「うふ」


 三発目。たしかに私は聞いた、メメメスが嬉しそうに、でも誰にも気がつかれないように静かに笑ったのを。もしかすると、私を挑発するために私だけに聞こえるように笑ったのかもしれないけど。もう! 人気者だからって私のこと舐めてるでしょ!


「!」


 しまった! 怒りに任せて感情的になりすぎ――――そう思ったときにはすでに、私の視界はメメメスの膝に完全に支配されていた。

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