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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL CAN WAIT
68/301

63:忘れないために

 部屋に戻るとメメメスは起きていた。


「ソドム、大丈夫か?」


 その声はとても静かで、どこ悲しそうだった。


「うん。私ね精神汚染が……あるんだって」

「そっか。無茶したもんな。まぁ心配すんな、頼りねぇかもしれないけど私も一緒に――――」

「ごめんね、メメメス。私おかしいのかな?」


 なんでだろ、なんか最近()()泣いてる気がする。(()()、って何回泣いたら使っていいんだろう。)


「私はよ、頭にきてんだ。リドルゴをぶっ殺されて」

「うん、うん。そうだよね……博士はまだ生きてるもんね、メメメスのほうがつらいよね」

「いや、わかんねぇよそれは。でもよ、なかなか言い出せなかったんだけど……私がここにいるのはリドルゴの復讐のためじゃねぇんだよ」


 え…………?


「リドルゴを殺したのはスカーレットだ。それをおまえは殺してくれた、()()()()()()()な。だからよ、手伝いてぇんだよ」

「メメ……メス」

「綺麗事で悪りぃな。だけど私は生きてるやつに自分を使いてぇんだ。リドルゴのこと忘れねぇためにも」

「………………………………嘘だよねそれ」


 ちょっとまって、私、何言ってるの?


「嘘じゃねぇよ。安心しろ」

「はは、あはははっ! 嘘だよメメメス! 私は博士が殺されたらそんな風に笑っていられない!」

「そっか」


 ねぇメメメス、違うの。私そんな事が言いたいんじゃないの。今だって私のために微笑んでくれたんだよね?


「メメメスは私についてきて自分をごまかしてるんだよ。メメメスの復讐心を私でごまかしてるんだよ!」


 なんで? なんでなんでなんで私そんなこと言うの? もしかして――――これが私の、本心?


「怒った? 図星でしょ? ほら、怒れば? 怒ればいいんだよ! 私とメメメスは他人だし、これから利害の一致で一緒にSリーグ目指せたほうがよっぽど――――」

「なぁソドム。リドルゴは死んだ。もうどうしようもねぇんだよ。だけどラヴクラインさんは生きてる、できることがある」

「いい子ぶるために私を利用しないで!」


 パン、メメメスが私の頬を叩いた音。うん、そうだよね。


「いい子はおまえだろう! なぁソドム、私を見ろ! おまえについてきたおまえの友達を見ろ! たしかに私もリドルゴが死んでおかしくなってる! だから同じやつに傷つけられたおまえと居ると安心するよ! 復讐だぁ? してぇよ! めちゃくちゃにしてやりてぇぜこんな世界! だけどそんなんじゃ私達は前を向いて生きていけねぇ、笑ってられねぇんだ!」

「…………」

「だからよ、壊れるなよ。私がおまえを支えるから、私を支えてくれよ……」

「なにそれ……」


 メメメスは真っ赤な目で涙がこぼれないように耐えていた。そして寂しそうな顔で優しく笑って。


「なにそれって、友達だよ」


 そう言った。

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