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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL CAN WAIT
65/301

60:X

 ソドム-X()。その子は丁寧なお辞儀をしながらそう名乗った。


「あなたがきたせいで、私は選手からメイドに格下げになりました。不本意です」

「そ、そう」


 謝ったらダメだ。本能がそう告げる。


「あなたは私より、強いですか?」

「どうだろうね。でも、夜中だしやめようよ」


 背筋が凍る。嫌な感じ、多分この子、強い。


「最初に教えておきますね。私の暴力は、性欲です」

「ぐぁ!」


 ちょっ! 腕を狙ってきた……なんで!


「あなたの腕、別のゴモラシティのラヴクラインが作ったらしいですね。私のラヴクラインの作った腕とどちらが優秀でしょうか?」

「……ちょっと、ちょっと、ねぇやめよって……!」


 金属がぶつかる派手な音。この人の腕も……金属!


「反撃、反撃しましたね? 悪くないですね。たぎります」


 ダメだこの人、いろいろダメなタイプだ。さすがラヴちゃんの……はぁ、やるしかないか。


「え」


 ()()()()()()をぐるりと囲む、二階、三階、四階の廊下。その手すりの間を埋めるようにずらりと並ぶのは……私と同じ顔、顔、顔、顔、顔。


「お……多すぎない?」

「よそみしましたね」


 え? この人、強すぎない? 倒されたことに気がつけなかったんだけど。


「ソドム-Y、あなたは私から戦いを奪いました」

「いや、そんなつもりはないけど」

「だから()()()()()()()()()なのです!」


 マウントとりながら超理論!


「うがっ!」

「再生が追いつかないくらい壊してあげま――――!」

「はぁっ、はぁっ、なめないでほしいな。私これでも、結構戦ってきたんだから」

「躊躇せず肋骨を折りにきましたね? いいですね、気持ちいいです! さて、そういうヤンチャなタイプには……」


 えー、ちょっとまってソドム-Xさん。どうしてそんなに後ろ下がっちゃったの? っていうかなんでいきなりケーキ食べてるの? ていうかポケットからケーキ出すってどういうことなの……。(うわぁ、ぐちゃぐちゃだよ……。)


「絶望しなさい。不思議の国(アリス)のアリス症候群(・ケーキ)

「え、え、えええええええええええええええええええ!」


 なになになになに! ソドム-Xがどんどん大きく……。 え、ええええ頭四階にあるよ! 巨人! あっという間に巨人! ケーキの()()()高すぎでしょ!


「うわぁあああ!」


 踏みつけられたら潰れる! 潰れる!


「あ……」


 速っ……蹴られ……た……。


「あ、ああ、あ……あ」


 やばい視界がモノクロ……動けない。体の中がグチャグチャだ。


「うぐうううううっ!」


 痛みに耐えて起き上がれ私、死にたくなければ起き上がれ! 起き上がれ! 起き上がれ私! よしっ! いける、私ならいける!


「し~ぶ~と~い~で~す~ね~」


 デカイからって太い声で喋るな! お腹の中がビリビリするよ!


「ま~て~」


 うわうわうわ! お屋敷壊れてるって! 壊される前に、壊される前に階段を駆け上がれ私! ああ、もうなんなのこの命がけのアトラクション! 寝起きにやることじゃないよ!


「はぁっ! はぁっ! うわっ! 反則だって!」


 手デカ! っていうか一撃強っ! 廊下壊れ……あああ! とにかく、とにかく走れ! 走れ私!


「に~げ~る~な~」

「ああ! もう!」


 一か八か。


「あああああああああああああああ!」


 うおおおとか、かっこよく叫んでいられない。だって今私は、巨大な()()()-()X()()()()()に飛び乗って全力で駆け上がってるんだよ? 顔面めがけて。


「こ~の~は~え~が~」

「あああああああああああああああああああああ――――――あっ!」


 ヤバイ……やられ……た……。

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