47:愛しの血液
「いいかソドム、私が合図したら口を離せ。飲み過ぎは壊れる、いいか? わかったか?」
え? 博士……なんだって? うひひ、おいしおいし。博士の血、おいしおいしだよ。
「聞いているのか? コードを液体化したのは調節のためだぞ? だから飲みすぎるなよ? いいかソドム、飲みすぎるなよ?」
うひひうひひひひひひ。博士おんなじ話くりかえしくりかえし!
「ラヴクラインさん、ソドムの目がやばいっすよ!」
うひひ、うひひひひひ、メメメスのほうがやばいよ。白黒~。ピンクなのに白黒になっちゃった。
「サードステージはナノマシンの異常暴走……まぁ、心配するなメメメス、解除のレベルを調整して全開にしなければよいだけだ。よし、ソドム。もう充分だろう、口を離せ」
っひひひひ、うひひひひひひっひ、博士、好き、好きだもん。だから全部飲ませて博士の血。私の中に博士を全部入れちゃえばさ、もう大丈夫! 誰にも傷つけられないし傷ついても治るしうひひひひ。私が博士になるよ! 博士が私になるよ!
「ソドム!」
「むぐぅう」
博士、そんなに押してもだめ、だめ。だめ! 全部飲むの。全部飲まないと、博士残しちゃうと博士が殺されるかもしれないでしょ? だから私になって。私の私に私のになってね。
「ねぇ、なんで邪魔したの?」
ねぇ、なんで邪魔したの?
「ああ、あなたがスカーレットなの……白黒だからわかんなかったよ」
状況整理。博士の肉がちぎれたのは、スカーレット(モノクロ)が私を蹴飛ばしたから。
状況整理。博士が転んだのはスカーレット(モノクロ)が私を蹴飛ばしたから。
結論、スカーレットが悪い。
「スカーレット、殺っ……あ? え? あい? いぃあ? ぐああっあああああああああああああああああああっ!」
いいいいいいい痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いよ博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士博士私痛いよ痛いよ痛いよ痛いよいいいいい痛い博士……。
「ああああああああああああああああ、ぇ、痛いから! そんなの痛くないからあああああああああああああ!」
そうだよスカーレット。私今攻撃されてもよくわかんないんだから! 痛いの! 痛い! 痛すぎて痛いのがわからないから! 私を攻撃しても意味ないです! 意味ないんです! 意味なんてないんです!
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
痛い、痛い。痛いよ博士! 痛いけど、痛いけど――――戦わないと!
「ああああああああぁっ……ああっ、ああ、あああっ、ああっあっあああっ」
状況整理、心の整理! ハートを整理! メメメスが、私に、スカーレットがぶっちぎった、狂姫さんの足から、ナイフを、とって! 私に(投げて)渡しましたとさ! 大きい、ナイフ、だから、これで、スカーレット殺す! 正解? OK? あああああああああああ痛い、痛い、痛い、痛みさんこんにちは! 私ソドム。自分の痛みのせいで、痛いの! ハロー痛みハロー!
「ぐあああああああっ、ぎゃっ!」
「あああああああああああああああああああああああああああ!」
スカーレットスカーレットスカーレットスカーレットスカーレット! 私のほうが痛いんだから声だすのなんてやめてよ! うるさい! 私より痛くないくせに! 私より、私より痛くないくせに! 煩いいい痛いぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいああああああああああ! だめぁあ! 痛い! 痛いの増えた! 痛い痛い! 痛いのたくさんふえてきたぁあああ! イタたたいたいいたい痛あひひうひひひひひ、おかしくなりそ、おかしくなりそ! うれしうれし!
「死ね! 死ね! 死ね死ね死ね死ね死ね! 死んで私の痛みを止めろぉああああああああああああああああああ」
「がっ! あっぐぁああああああああつがあああああああ」
なにそれ、なんのつもり? なんで私の足もちぎった? は? それ私の内臓だし。それ私のだし! でも私の勝ちぃぃいいいいいいいいい! 勝ちぃぃい! 私の! 勝ちぃぃいいいいいいい! 私のほうが痛いし、私のほうがスカーレットを壊したし! 残念! 残念! 残念でしたぁあああああああああああ! うひひ、うひひっひひ。うれしうれし!
うひ。
うひひっひいひ、うひ。
なんだ、スカーレット、すごく、弱いね。




