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ソドム・パラノイア  作者: Y
heaven can wait
41/301

40:理由(Reason)

 私のセカンドステージの力は、狂姫さんのセカンドステージより()()。私のサードステージはその力を引き出した結果生まれた、手を出してはいけない領域。


「え、Sリーグ?」

「ああ、Sリーグだ」


 Sリーグって……確かゴモラシティの住人は見れない暴力的地下遊戯アンダーバイオレントゲェムの頂点……。


「私がSリーグに出れる日が来ることを考えて、このナノマシンを作ってくれたってこと?」

「すまないが違う。Sリーグが開催された時、生き残るためだ」

「え?」


 その時、突然()()()()()()()がついた。(それは本当に、突然だった。)


『紳士淑女の諸君ごきげんよう、ゴモラ67の皆様に素晴らしいお知らせですぅ! あなたがたの街、67番目のゴモラがなんとSリーグの開催場所に選ばれましたぁ!』


 砂嵐、映像はなにもない。でもなんだろうこの声……怖い。


「ほら、やっぱり()()でしたわ。わたくしの予測どおりですわねラヴクライン」

「ああ、そうだな。さすがSリーグ狩りの狂姫(きょうき)だ」

「今日までわたくしが何人のSリーグ選手を殺してきたと思ってるんですの?」


 えっと……。


『開催は三日後我らがSリーグ選手をお相手いただくのはぁ、あなたがたの街のAリーグチャンピオンですぅ!』


 Aリーグチャンピオン……それって、狂姫(きょうき)さんだよね。


『そして……あなたがたにお届けする素晴らしき厄災、Sリーグ選手は――――』


 何、今の音。狂姫(きょうき)……さん?


「ようやく会えましたわね、恋い焦がれましたわ」


 モニターに映る、赤い髪、赤い瞳の女性。


『ゴモラ23出身、同地を焼き尽くした浄罪界(れんごく)のスカーレットですぅ! どうやらこの街のチャンピオンは一方的な因縁を抱いている様子、とてもおもしろいバトルになりそうですねぇ。それでは、また、ごきげんよう』


 ばきん、ばきん、ばきん、ばきん。狂姫(きょうき)さんが奥歯を噛んでいる。あんなに音出したら、歯が壊れちゃうよ。(もしかして再生し続ける歯を噛み砕いているのだろうか。)


「ソドム、今は一人にしてやろう。帰るぞ」

「う……うん」


 狂姫(きょうき)さんは、もう消えてしまったモニターをずっと、ずっと見つめていた――――見開いた、黒い瞳で。

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