32:ガールズトーク
博士は宣言通り、メメメスの顔と足と傷を治した。(傷は博士が撃ったやつだけど。)
「なんで……」
「私こそなんでおまえとって言いたい」
あれから一週間後。今日、家にいるのは私とメメメスだけ。博士は狂姫さんに誘われたとかで、輸入市へ行ってしまったのだ。
「おまえとってなに! ここ私の家!」
「だからなんだ偉そうに!」
「じゃあ出てけば!」
「ラヴクラインさんにまだ治療が終わってないから家にいろと言われたのを聞いてただろ!」
うわー! む! か! つ! く! 試合中のぶりっ子はどこいったの?
「まぁ、感謝はしてる。おまえじゃなくてラヴクラインさんにな!」
「ならもっと試合前みたいにぶりっ子してれば!」
「はっ、おまえなんかに媚びてどうするんだ馬鹿」
「ばっ……バーーーーカ!」
うわぁ、私口喧嘩ボロ負け……。っていうかさぁ、メメメスの素って超態度悪くない?
「でも悪かったよ。顔、すげぇ金かかってたからよ……ムカつきすぎちまって」
「いいよ別に、私だってこの博士がくれた腕壊されたらムカつきすぎちゃうと思うし」
なんか微妙な空気。なにこれ、なにこれもう。
「い、いいでしょこの腕? 綺麗に光を反射するし」
「いや、全然光反射してねぇじゃん」
「してるよ!」
確かにつや消しってわけじゃないけどツヤツヤじゃないからピカーンとはしないけど……その控えめな感じが綺麗……だと……思ってるんだし。
「まぁその腕自体は綺麗だと思う。ただ反射してるとはいい難いけどな、その落ち着いた感じを綺麗な反射と言いたくなる気持ちはわかるぜ」
「うひひ、あ、え! あっそ!」
うう、恥ずかしいリアクションしてしまった。というか今メメメス「ぜ」って言ったよね。
「だけどそれを反射というと、反論されると思うな。反射ってやつはもっとキラッとしたやつだぜ! むしろ反射って言葉を使わねぇほうがその腕の良さが伝わるんじゃねぇの?」
「ねぇメメメス、普段あんなキャラ作ってて疲れないの?」
だぜ……。そういえば狂姫さんもキャラ作ってるって、博士が言ってた気が。
「は? あんなの敬語使ってちょっと小さい声で喋ってりゃいいんだし簡単だろ。つーかその腕つや消しじゃね? あえて反射しないようにしてるんじゃね?」
「……」
つ、つや消しじゃないって思ってたけど……言われてみるとこれつや消しなのかも。
「つや消しってなに? この腕はつや消しに入るの? 一応光当てると光が映るし……」
「はぁ? おまえあんな賢い人と一緒にいてそんな事も知らねぇの? というか光が映るから反射とか、詩人かよ。引くぜ。おまえこそまじもんのぶりっ子じゃねぇか。キモ」
む! か! つ! く!




