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ソドム・パラノイア  作者: Y
グッバイ、ソドム
296/301

272:終わりかけの物語

 私は強かった、驚くほどに。力も、心も。相手が動けなくなるまで殴り続けること……全然平気だったから。


「痛い……のだ……」

「ねぇ、狂姫(きょうき)さん。私ってなんなの?」


 聞きたくもなる。


「世界の中枢に一番近い部外者ですわ。馬鹿にも分かるように言い換えるならば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「どういうこと? 意味がわからないんだけど」

 

 ゾワゾワと体の中でなにかが動く。ああ、なんかすっごく真っ黒な気分だ。


「あれ……」


 景色から色が……消えた? 全部がモノクロだ。


「もうわたくしが教えることはないですわね。さ、バベルに向かいなさい」

「リリールを助けなきゃ」


 吐き出した言葉は、これから来る未来を受け入れたくないから? 私……リリールのこと本当に助けたいって思ってるのかな?


「友達を選ぶ。そういうの嫌いじゃないですわよ」

「えっと、そういうのじゃ……」


 私、今否定したいと思ってる?


「リリールは昨日、ある村に移送されましたわ。バベル派の重要拠点、村の指導者の名前はコヨーテ。これだけ情報があれば、今のあなたなら充分ですわよね?」

「どうして……そんなこと調べてたの?」


 私がリリールのこと助けると言い出すって、知ってたみたいな。


「脇役も必死なんですわ。自分が自分であるために」

「私を利用して、感情をなくそうとするバベルを倒そうとしてるんだ」

「あら、まるで子どもみたいな言い方しますわね。まぁ、その通りですわよ。あなたも嫌ですわよね? わけがわからないまま終わるのは」


 突き進んだら、わけがわかるのだろうか?


「世界さえ滅亡しなければ、あなたみたいな強者は何度もやり直せますわ。ただ、感情(せかい)が終わればあなたみたいなタイプはまっさきに、なんでもないものになってしまいますわね」

「意味、わかんないんだけど」

「悪意を向ける相手が違いますわよ?」


 なんかいらいらする……この人を()()()()()()()()()、いいんじゃないかなって。


「やめといたほうがいいですわよ? 今のあなたではわたくしにはまだ勝てない。感情を燃やして、もっと強さを思い出すことね。あなたにとっての一番の感情を」

「もう、なんなの!」


 おもいっきり殴りかかった。それこそ、感情的に。


「げほっ、げほっ」

「だから、勝てないと言いましたわよね? さ、コヨーテのところに行ってくださいまし。せっかく調べてあげたんですから、お友達を助けてあげなさい」


 リリールを助ける。きっとそれは、私の言い訳だ。だって私はあんな危ない子、助けたくもないから。でも、友達を助ける自分でありたかった。どうでもいいって思ってしまったからこそ、助けに行かないと私はおかしくなってしまいそうだった。


 ねぇ、誰か私の話を……聞いてよ。

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