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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL HATE HARDCORE
278/301

255:嗜好

 学校についた時はちょうど休憩時間、私がニカと一緒に教室に入ると空気が変わった。そうだよね、一番のいじめられっ子と、一番のいじめっ子が一緒だもんね。


「リリール、ついてこいにゃ。六七班のやつらも一緒ににゃ」


 黙ってついてくる三人、向かった先は三階のトイレ。他に、ついてくる人はいない。


「リリール、おまえずーっとソドムのこと解決しようとたくらんでたにゃ? 理由はなんにゃ?」

「……可哀想な子を放ってはおけないわ。私達はトランプ持ちになるんだから、弱い者いじめは認めれないの」

「それはニカのことを否定しているのかにゃ? にゃはは! 四対一だからって強気だにゃあ!」


 ニカのその言葉に、私の心がホッとする。ああそっか、私はニカの仲間になって裏切ったと思われることが、不安だったのか。


「ニカ、なにをたくらんでるのよ」

「おまえは可哀想な子を助けたいんじゃないにゃ。可哀想な女の子が好きなだけにゃ」

「だからなにをたくらんでるのよ!」

「ニカはにゃーんにもたくらんでにゃいにゃ。たくらんでるのは、ソドムだにゃ」


 みんなの視線が私に集まる……よね、そりゃ。


「こいつは一人でニカに啖呵をきったにゃ。六七班とニカの六五班で勝負して、勝ったら言うことをきけって」

「ソドム、それは本当か?」

「うん、ベストリーカ。本当だよ……」

「おまえ勇気あるなぁ! アタシはやるぜ! なぁカリアーカ、リリール!」

「う、うん! 僕もやるよ!」


 一瞬リリールの表情が暗くなったのは、何故だろうか。


「ニカ、それは本気で言ってるのね」

「本気だにゃ。まぁ、リリールにそんな度胸があるにゃんて思わ――」

「やってやるわよ!」


 大きな声は、下の階まで聞こえたかもしれない。


「私はね、悔しかった。情けなかった、そして今もソドムが覚悟を決めたのに、私がなにもできてなくて悔しかった」

「だからなんにゃ?」

「だから私があんたをぶっとばす! 私はっ……ソドム、私を殴って!」

「え?」


 い、いきなりなに?


「殴って!」


 ペチン。私の拳には全然力が入らなかった。


「もっと!」

「う、え?」

「強く!」

「う、うわあああ!」


 ガツンと、私の金属の拳が頬の骨にあたる。


「ふふ、あははは! ほんと私ってダメな女よね。怖がりで、中途半端で卑屈で」

「なに勝手に盛り上がってるにゃ」

「でもね! あんたみたいな理由もなく人を痛めつける奴は、大っ嫌いなのよ!」


 ニカとリリールの顔が近づいた。リリールが、襟首をつかんで迫ったから。


「それがどうしたにゃ!」

「にゃーにゃーにゃーにゃーうるさいのよ! 答えられねぇのかよ! 弱いってだけで人を痛めつけていい理由を! 結局あんたなんてね! 不良気取りのわがまま娘なのよ!」


 えっ、ちょっと、ちょっとまって……。


「ニカを怒らせるにゃって……前言わなかったかにゃあ?」


 ダメ、ニカを怒らせたら試練症が……。


暴力的地下遊戯アンダーバイオレントゲェムへようこそっっっっっっ!』

「え? なに?」

「ソドムはアタシの後ろに下がってな! これはもう止まらねぇ、やるしかないんだ!」


 なんだったんだろ、さっきの……ここにいる誰でもない声は。なんか、頭の中で聞こえたみたいな。私、緊張でおかしくなっちゃったのかな?


「ニカが怒る前に手を離すにゃ……」

「なによ? ビビってるの? 私は今ここでやりあったっていいのよ!」


 ああ、どうしよう……私の、せいだ。

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