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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL HATE HARDCORE
267/301

244:暴力の生徒たち

 私はリリールと真っ黒な戦闘服に着替えてから、学校に備えつけの通信機でメメメスさんに連絡する。


「リリールが一緒に行ってくれるって」

『そっか、がんばってこいよ。ああ、上だ上! 次上で頼む! ああ、すまねぇソドム。私今忙しいからさ、帰ったら話聞かせてくれよ』

「う、うん」


 騒がしいな。またいつものところかな?


「ほら! いつまでぼーっとしてるの! いくわよ」

「う、うん。ごめんなさい!」


 学校から出て歩く。走らないんだね、今日。


「情報では、そこのアパートにターゲットの従業員が二人住んでるらしいわ」

「こんな近くに?」

「反バベル派だって、気がつかれてないと思ってるのよ。まったく、あんたが戻ってこなかったら一人でやるところだったわ。今夜クラス全員で一斉に動くことになってるから、時間ずらせないのよ」

「ご、ごめんね……」


 リリールが班長の印でもある配給端末を取り出し、標的の写真を見せてくれる。うわ、普通のおじさんだ。


「ねぇリリール、あえて学園の近くに潜伏してるって……危険な人たちなんじゃ? 優秀な生徒はさらわれたりするって聞いたことあるし……」

「なに言ってるのよ。そんなやばい相手を、私達みたいな学生に回すわけないでしょ。ほら、帰ってきたわよ」


 アパートの下の自転車置場に二人。え、え! もう行くの!


「はやく来なさい!」

「あ、えっと……うん!」

「な、なんだおまえら!」


 うわ、いきなり気づかれた。


「名乗る必要はないわ!」

「その服、学生(ハンプティ)かっ! くそっ! なんでバレ――ぐあっ!」


 リリール強い!


「ソドム! なにしてるの!」

「へっ? うあっ! でもっ!」


 痛っ! この人、ナイフ持ってる。


「あんたが倒さないと意味ないじゃないの!」

「う、うああああ!」

「この餓鬼っ!」


 ひっ、腕切られた! あ、あれ? そっか、よかった! 私の腕は金属製だ!


「ああああっ!」

「がっ!」

「浅いわソドム! そのまま殴り続けて!」

「う、うん!」


 でも、まずはナイフを落とさせたほうがいいよね? 切られても治るけど、痛いし!


「うわっ!」

「武器を怖がらない! ほら右!」

「痛っ!」


 今日の私達は武器を持ってない。どうしたら――――あ!


「うわわわ!」

「ぐがあっ!」


 倒れたふりして、拾った石を投げつける。やった! ナイフ落とした!


「うああああ!」

「がっ! このっ!」


 よし! 弱い! この人、訓練してない人だ!


「はぁっ! はぁっ!」


 えっと、どうすれば課題クリアだっけ? あ、そうだ。気絶する程度の暴行だ!


「てえええい!」

「ぐっ!」

「ソドム、もっとガッツリ殴りなさい!」


 しまった、ちょっと殴ったくらいじゃ、すぐ治っちゃうのか……。頭は届かないし……。よし、ならおもいっきり!


「う、あ! あれ?」

「うわっ!」


 足が絡んで一緒に転んじゃった! でも私が上! それに、この距離ならっ!


「ええい!」

「ぎゃっ!」


 やった、頭にいい一撃入った! おお、気絶したぞ、ナイスパンチ私!


「リリール! やったよ私!」

「はぁ、まぁ……課題クリアね。全くこの程度の相手に手こずるなんて、あんたほんとに、私と同じ学校の生徒なの?」

「う……」

「後の二人はしくじらないだろうし、これで久しぶりに私の班は脱落者ゼロね。どれくらいぶりかしら?」


 いつもごめんなさい……うひひ、でも嬉しいや。

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