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ソドム・パラノイア  作者: Y
HELL HATE HARDCORE
266/301

243:課題

 私が教室に戻った時、授業も、生徒も……教室には残っていなかった。はぁ、ちゃんと受けたかったな。卒業できれば…………軍に入れなくても、将来ちゃんとお仕事ありそうだし。私馬鹿だから、今のうちになんとかしとかないと……大人になった時やばいよ絶対。うう、なんでずっとトイレにいたんだろ私!


「…………」


 洗ったせいで濡れた制服の襟が、冷たい。


「またいじめられてたの?」

「うわっ! え、えっと……」


 振り向くと、隣の席の女の子。褐色の肌、輝く銀色の髪に黄色の瞳。私と正反対の、力強い視線の女の子。右の膝から先が神の切断でなくなってて、真っ青な義足をつけてる。格闘が得意で、みんなには狼みたいって言われてて――――うん、やっぱり私とは正反対だな……。


「リリールよ、名前くらい覚えてよね。そんなんだからいじめられるのよ」

「忘れてたわけじゃっ……痛っ」


 強烈なデコピン……。


「わかってるわよ。忘れられるわけないわ、私とあんたは同じ班だもの。今度の課題、足引っ張らないでね」

「か、課題って……あれ? 課題出てたっけ……うあっ!」


 強く頬を叩かれて、口の中が切れる。


「気合入った? 血、たらさないで飲み込みなさいよ? 私がいじめてると思われたら困るわ」

「う、うん。もう治ったから大丈夫」


 アリス様のくれた再生の力がなければ、今頃私は傷だらけなんだろうか。


「あんたがいない間に、課題が出たのよ」

 

 渡されたプリントはクシャクシャ。捨てられたやつを、拾ってくれたのかな。


「反バベル派企業の……従業員……襲撃?」

「班になにもできなかった人がいると減点になるから、しっかりやってもらうわよ」

「な、なんでこんなことするのかな」


 ある企業で働く人達を、一人づつ襲う。そんなことに、なんの意味があるんだろう。


「そんなこともわからないの? 会社の人間を襲撃すれば、恐怖で辞める人がたくさん出る。そうすれば会社が困って――――はぁ、いい? 絶対に一人はやるのよ? やれなかったら、あんたを徹底的に追い込むから」


 仕方ない、きっとこれも世界を守るため。アリス様のバベルを、守るため。


「が、頑張るよ私! アリス様のために――――ふがっ!」

「そんな生意気言うのは結果出してからにしなさいよ。いい? しっかりやるのよ!」

「いたたた……がんばる、がんばるから」


 私の顔を鷲掴みにしながら怒るリリールは、実は優しいのかもしれない。叩いたりするけど、会話はしてくれるから。


「さて、いくわよ!」

「え……?」

「ええ。行動開始指定時間まであと三十分。だからこうして待ってたんじゃないの!」

「痛っ!」


 強烈なチョップ……。うう、もう少し加減してほしいな……。

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