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ソドム・パラノイア  作者: Y
Sodom/paranoia
258/301

239:生きているから

 長い廊下を歩く間、私は考えた。世界はなんなのかと。私はなんなのかと。結局答えは出なかったけど、私が、私という存在が世界にとって大きすぎる存在だってことだけは、理解できた、けど、理解できなかった。


「なんでこんなことしてるんだろ」


 どこまでが私の意思で、どこまでが仕組まれたことなんだろう。どの感情が私のものなんだろう。こんなこと、もう何回考えたっけ? そもそも考えてたんだっけ、ちゃんと。


「私、こうなることをわかってたのかな」


 きっとそうだ。私は自分が特別な存在だって、わかってた。少なくとも、博士が特別な存在だってわかってた。わかっていたような、気がする。


「私は特別になりたいの?」


 博士に会いたいのか、殺したいのか。いや、会いたいだけだ。だって特別な私を、ちゃんと受け止めてくれるのは特別な博士だけだから。


「だから私は――――」


 廊下を抜けた先、遥か上まで続く空洞。そしてその内側にぐるぐると上を目指して続く、階段。


「邪魔なものをさ、結局、どけちゃうんだよ」


 階段にはポツンポツンと、見たことある顔の人が立っている。上までずーっと。きっと見えないくらい高いところまでずーっと。


「うひひ、あなたたちはさ、誰なのかな」


 青い瞳、金色の髪。水色のエプロンドレス。まるで、真っ黒になる前の私みたいな子たちを、殺して殺して殺して殺して、殺し続けて、私はバベルをのぼる。大丈夫だよ私、だって今私が殺しているのは私だから、どれだけ殺しても、殺したことにならないよ。


 じゃあ、何故私は叫んでいるのか。


 もしその答えが「生きているから」だったら、笑える。

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