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ソドム・パラノイア  作者: Y
Sodom/paranoia
254/301

235:我世我世我々の世界

 私が通り過ぎた家やお店からゾロゾロゾロゾロ出てくる人々。みんな私についてくる。それが当たり前のことのように思えてきて。


「私、なにしてるんだろ。ほんとに」


 強く強く、何度も、博士がメメメスにしたことを思い返す。私は博士を――本当に殺したいのかな?


「ソドム様、あちらに見えますのが唯一の入り口です。中でクロリナ様がお待ちかと」


 私の前を、案内をするために歩き続けた人が言う。この人以外はみんな、私の後ろ。


「うひ、うひひ、ありがと」


 これは喜び。クロリナと聴いて私の中の暴力が喜んだから出た笑い。ああ、いいな、戦えるのか。戦ってる時ってさ、自分より強い人と戦ってる時ってさ、あんまり考えなくてもいいもんね。うひ、うひひ。(わざとらしく笑えよ私。)


「ああああっ!」

 

 感情を吹き飛ばすために、大声を出す。暴力に酔うのは、やめよう。暴力に溶かされたら私は……あれ? それでいいのかな? それで正しいのかな?


「どうされましたか?」


 そして、驚かない人たち。


「ん、なんでもない」


 ある意味、楽。


「じゃあ、ありがとうみんな。死なずに、家に帰ってね」


 そう呼びかけると全員が一斉に地面に頭を擦りつけるような、土下座をした。ああ、そういえばリューリーがクロリナに土下座させられてたな……うひひ、私もクロリナを土下……はぁ、そんなに戦いたいのかな私。


「ソドム様、ご武運を」

「へっ」


 唐突に言われて、驚く。その声にはとてもとても感情がこもっていたから。


「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」


 えっとえっとえっと……。


「う、うん。わかったよ」


 苦笑いみたいになっちゃったな……意味分かんないし。


「じゃあ、行くね」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」


 いつまでたってもその声が終わらないので、私はバベルの入り口に向けて歩くことにした。


「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」

「ソドム様! 我々をお救いください!」

「ソドム様! 世界をお救いください!」


 うーん、もう本当にわけわかんなくなってきたぞ…………。


「…………ちっちゃ」


 私はついにバベルの足元にたどり着いた。私の目の前にある、白い、小さな扉。ちょうど私の背の高さくらいの。これが、こんな小さな扉が、この巨大なバベルの入り口? こんな、小さな木の白塗りの扉が?


「555555733000:/YF Authentication」

「うわっ」


 扉が喋る。そして開く。なんでこんなことでちょっとびっくりしたんだろ。もっと変な体験してきたのに。ああ、そっか。私の脳って……自分の脳なのにそうじゃないような時があるんだな。(そうやって思うのは、私の考えなのだろうか。)


「おじゃまします……」


 小さなドアを抜けた後は、普通のサイズの通路だった。


「なんか簡単に来れちゃったな」


 街でもっと手間取るかと思ったけど……。きっと私は、終着点にだいぶ近づいているはずだし。


「あれ? この通路……」


 見たことある。どこだっけ? その答えはすぐに通路の先から聞こえてきた。


「モニターの向こうのレッディィィィィィスアンジェントゥメン! さあさあ、今日もはじまったはじまった暴力の祭典っっ! 暴力的地下遊戯アンダーバイオレントゲェムへようこそっっっっっっ! 暴力的な暴力の祭典だぜぇ!」


 そっか、じゃあ私が今歩いているのはブルーゲートか。

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