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ソドム・パラノイア  作者: Y
Sodom/paranoia
237/301

218:大人

 大人は本当の話をするとは限らない。なんとなく今日までを振り返ってそう思った。大人はきっと、ほとんどが嘘つきだ。じゃあ、子どもは?(今から戦うのに、なんで振り返ってるんだろう?)


「うひひ、騙された?」


 もちろん、子ども(わたし)も嘘をつく。ダメージを受けたふりをして、思いっきり蹴っ飛ばすなんて、あたりまえにやる。そう、嘘に大人も子どもも関係ない。嘘をつく必要があるか、ないかだ。(本当に子どもは、嘘をつく()()()()()()のだろうか?)


「悪いけど、すぐ殺すね?」

 

 殺意をしっかり持って狙う場所を決めれば、簡単に――――え、いや、いくらなんでも簡単すぎない? 私、異常に強くなってない? 敵さんが弱いだけ?


「ソドム! こっちを手伝うのだ!」

「できれば私の方も頼むぜ。こいつら、なかなか強いぞ」


 二人は苦戦中。うん、なんか……全員の動きがゆっくり見えるような気がする。いや、別にスローになったりしてるわけじゃないけど、なんていうか隙だらけ。


「ソドム! はやくするのだ! 列車から落とされそうなのだ!」

「あ、うん! ごめんね、今やるよ」


 簡単に顔面をつかめた。そのまま思いっきり腕をふりぬいて、首を壊す。


「あれ、死んでない? えっと……もう動けないと思うし、あとはリューリーやれるよね?」

「あ、ありがとなのだ……」


 次はメメメスを助けなきゃ。うわ、向こうの車両に行っちゃったね、追いかけないと。


「メメメス! どいて!」


 私の目は確実に敵を捉えていて、メメメスが避けた瞬間にそれを全力で殴った。でも、それは失敗だった。


「ぐぶっ!」

「う、あ、ああああっ! 腕がっ変な方向にっっ!」


 しまった、集中しすぎてた。ここ……()()()()()()()()()()()()()()()()だった……。


「はぁっ、はぁっ……ソドム、おまえのせいじゃねぇ。押し負けちまった私のせいだ」

「う……」


 どうしよう、()()()()()()()()()()。どうしよう、私のミスだってちゃんと理解できる。どうしよう、私のミスで無関係の人が巻き込まれて大怪我したって……どうしよう、私がその人達がいるのを無視して、敵ごと……どうしよう、()()()()()()()()()()()()()()を……。ああ、やっぱりだめだ。私の頭、今、普通に動いてる。


「うわっ!」


 突然の衝撃、列車がガタガタと揺れた。まるで、私のぐるぐるした思考をぶった切ってくれるかのように。


「待てソドム! 一人で行くな!」

「嫌な予感がするの! メメメスは待ってて!」


 列車の()()()へ。きっと衝撃の正体は、そこにある。そここそが私の、()()()だ。

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