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ソドム・パラノイア  作者: Y
Sodom/paranoia
232/301

213:吐瀉物の理由

 撃ってきた人は気絶というか、意識がない。うん、私がやりすぎたからね。で、私達はその人をある場所に運んでいる最中というわけなんですが――――――――なんか悪人になった気分です。うん。さすがにあの男の子も近づいてこなかったし。(運んでいるのはメメメス。私はまだ()()()()が落ち着いてなくて、また手を出しちゃいそうだから……。)


「まったく、ソドムは()()()()()()()()()()()()を強く殴り過ぎなのだ。おかげで意識が飛んでたのだ!」

「ご、ごめんね」


 リューリー硬いから、脳に衝撃いきやすいのかな?


「うお! おまえ()()()()()()のだ!」

「うん、再生したみたい」

「キモっ」


 え、ひどくない?


「まぁそんなことはどうでもいいのだ。ソドムがキモいのは今にはじまったことじゃないし」


 え、ひどくない? いや、まぁキモいかもしれないけど。っていうか右目、普通に見える。すごいな私のナノマシン。


「さて到着なのだ! ここがリューリーちゃんの基地なのだ! 入る時はお邪魔しますと言えなのだ!」


 着いたのは、リューリーが()()()()()()()()()。なんかそんなに広くないし、薄暗くてやな感じだな。


「お、おじゃましま……うわ、ひどい臭いだね」

「まったく、そんなに日にち経ってないのに腐るの早すぎなのだ!」


 そこには最低でも五人以上の、めちゃくちゃに壊された死体。


「さて、お仕事なのだ! メメメス、そいつを床に寝かせるのだ!」

「はいよ。つーか仕事って、なにするつもりだ?」


 ()()()()()()()()()()()()は、まだ目覚めない。やっぱ、やりすぎちゃったかな……。


「こいつからいろいろ聞き出すのだ! リューリーちゃんはそういうの得意だからやってあげるって話なのだ! まかせるのだ!」

「おまえ、語尾にのだつけるの下手だな」

「うるさいのだ」


 そういえばリューリー、前よりのだのだ言ってる気がするな。まぁこの人もキャラ作ってる系だし、どうでもいっか。


「ソドムはなにも考えずに殴り過ぎなのだ。顔にマスクのパーツが刺さりまくってるのだ! 場所が悪かったら脳をやって尋問できなく……うわ、喉も! 潰れて声が出なくなってたらどうするつもりだったのだ!」


 ご、ごめんなさい。そういえばあのマスク、ガラスとか金属も使われてたよね……それが刺さってるんだよね。あ! そっか、私の手は金属だから刺さらないのか! うひひ、大発見!


「んん? ん? んー? この顔、知ってるのだ」

「えっ」

「間違いないのだ、ぐっちゃぐちゃだけどこの骨格の形、Sリーグ選手のリダル・リンリなのだ。なるほどなるほど……そりゃっ!」

「ぎあっ!」


 ええええっ! いきなりっ左目に指突っ込んだ! リューリーめちゃくちゃやるね! 人のこと言えないよね! ねぇ!


「おい、いつまで寝たふりをしてるのだ」

「ぐぅっ……殺せ」

「嫌なのだ。色々聞かせてもらいたいのだ」

「がっ!」


 リダルとかいう人が起き上がろうとしたところに、リューリーの容赦ないパンチ。っていうかまだ動けたんだ、さすがSリーグ選手だね。今度から頭だけじゃなくて()()()()()()()


「ソドム、わざわざ見なくていいぜ。やつは相当悪趣味だ」

「うん……でも、私達のために聞き出そうとしてくれてるんだし。目をそらすわけにはいかないよ」

「お! ソドム! おまえなかなか成長したのだ! いいのだいいのだ、体型以外の成長は素晴らしきことなのだ! えいやっ!」

「ぎああああああっ!」


 足首を力いっぱい踏みつける、まるでハンマーかなんかで殴ったような音。リューリーの硬さ、すごいな。


「うわっ、折れたなあれは……」

「逃げられたら困るもんね」


 うん、私でも足を折ると思う。いや、馬乗りで殴り続けちゃうかな?


「はぁっ、はぁっ。私はなにも喋らないぞ! 殺せ! さっさと殺せ!」

「きゃは、きゃはははは! ふひっふぐふふふ、安心するといいのだ、喋らなくていいし、死ななくていいのだ!」


 逃げられたら困る。そんな、偉そうなことを言った私もすぐに目をそらした。あまりにもリューリーのやったことが……エグかったから。


「おい! やりすぎだぜ!」

「メメメス、見てられないなら外に出てるのだ。こいつはSリーグ選手、そして元特殊部隊! それだけそろってれば口を割らせるのは簡単じゃないのだ」

「だからって――」


 私はメメメスのスカートの裾を掴む。


「ソドム……」

「敵が見えないままは……危険だよ」

「そうなのだそうなのだ、ソドムの言う通りなのだ! 列車の発車時刻までに、必ず黒幕を吐かせないといけないのだ! ぐふ、ぐふふふ、きゃはは! きゃははは!」


 甲高いリューリーの声が、闘技場に反響する。そしてそこに混ざる、濁音混じりの悲鳴。


「うっ……うえっ! おええっ!」

「メメメスはこういうのは苦手なのだ? まぁ人には得手不得手があるから、ここはリューリーちゃんに任せるといいのだ!」

「げほっ、げほっ。ひでぇ、よくもあそこまで人を痛めつけれるものだぜ……」


 うん……だいぶ前に見た、リディアさんたちの拷問よりよっぽど……。


「きゃははは! ふぐふぐ! だんだん調理前のお肉みたいになってきたのだ!」

「う、うええっ!」


 今度は私が吐く。メメメスの肉を食べた夢を思い出して。ああ、あの時は我慢できたのに。


「はぁ、なんなのだおまえらは。暴力屋のくせに、今更なんに抵抗感じてるのだ?」

「そいつは無抵抗だろう……」

「バーカ言ってるんじゃないのだ。今おまえが生き残ってるってことは、おまえが殺してきた相手はみんな無抵抗だったのと同じなのだ。おまえが強いから殺せた、それだけなのだ」


 メメメスは唇を噛む。ごめんねメメメス、私リューリーの言ってる意味なんとなくわかる。でも多分吐いてる理由はさ、違うよね?


「ねぇリューリー。多分メメメスは抵抗感じて吐いたんじゃなくて、ただ単にグロすぎるからだと思うんだけど」

「…………」


 あれ?


「ふぐふふっ、きゃは! きゃははははははは! 今の発言すごく残酷なのだ! 最低なのだ! きゃははは!」


 ほんとだ、私最低。

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