207:うわぁ出たぁ
うわぁ出たぁリューリーだぁ! と、町の人は逃げていく。残っているのは私達、そして状況を理解できない一部の観光客だけ。(こういう人たちが簡単に死ぬんだよね。)
「ソドム、ひさしぶりなのだ!」
「うん、ひさしぶり。じゃあね」
「待つのだ!」
リューリーに腕を掴まれる。あれ? 前より強くなってる?
「こんなところでなにしてるのだ」
「え、列車旅」
「そうかそうか、楽しむといいのだ」
「うん、じゃあね」
「待つのだ!」
私は思わず笑ってしまう。そしてそれを見てリューリーも笑う。
「はぁ、相変わらず切羽詰まった顔してるのだ。ちょっと気晴らしに私とそのへんのやつでも……」
「殺さないよ? でも気を使ってくれてありが――」
「ぐえっ!」
簡単にまとめると、私がお礼を言いかけたところでリューリーがメメメスのスカートをめくって、ぶん殴られました。以上。
「なにするのだ!」
「それはこっちの台詞だ! っていうか石頭だな……拳が痛いぜ」
「殴るから痛いのだ! 自業自得なのだ!」
「おまえがいきなりスカートめくるからだろ!」
うん、メメメス正論。
「で、リューリーはなんの用?」
「リューリーちゃんと、してほしいのだ」
「なにを?」
いや、なにをしてほしいか言ってもらわないと困る。
「すると言ったらひとつしかないのだ!」
「はぁ? そんなのだめに決まってんだろ!」
「うるさいぞピンク! おまえは関係ないのだ」
怒ったのはメメメス。うーん、謎展開。でもまぁ、なんか私は微妙なことを要求されてるってことだよね。
「えっとごめんねリューリー、よくわかんないけどヤバそうだからやめとく」
「ひどいのだ! リューリーちゃんは、おまえを気持ちよくしてあげようって話をしてるだけなのだ!」
「え、気持ちいいの?」
「そいつの話にのるなソドム!」
「だまれピンク!」
うーんメメメスとリューリー、相性悪いね。
「そもそもしたくなったのは、おまえのせいなのだ。リューリーちゃんはおまえの狂った瞳が忘れられないのだ。だから――」
「私狂ってないよ!」
唐突に失礼だね! あれ、メメメスここでは怒らないの?
「だからリューリーちゃんと――」
「ダメだって言ってんだろ!」
「なんでおまえが決めるのだ、このピンクソビッチ! おまえはソドムの恋人かなんかなのだ?」
「ばっ……ちげぇし! そ、それに誰がピンクビッチだ! この白チビ!」
えーっと……そろそろ列車に戻ろうかな。
「ソドム、おまえはどっちの言うことを聞くのだ!」
「ソドム、おまえはどっちの言うことを聞くんだ!」
そんなこと言われても。
「ああああもうムカつくのだ! このピンクソビッチ、勝負しろなのだ! 勝ったほうがソドムを好きにするのだ!」
「ああ、やってやるよこの白チビが! あと私はビッチじゃねぇよ!」
えーっと、どっちが勝っても好きにしないでください。




