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ソドム・パラノイア  作者: Y
Sodom/paranoia
225/301

206:所業

 女の子が焼け死んだ後、見ていた人達は本当に勝手なことを言っていた。


「ひどいものを見せられたな」

「悪魔の所業だ」

「なんで道を広くしておかなかったんですか! こんなに危険なら事前にちゃんと説明するべきです!」

「目が……目が見えない、おまえらのせいで目がみえねぇえええ! おい! 聞いてんのか! おれは客だぞ! この町の人間じゃねぇんだぞ!」


 みんな、望んでここに来たはずなのに。望んで処刑を見に来たはずなのに。 


「ソドム、行こうぜ」

「うん」

 

 私は、直径を大きくしながら壁面を上がっていく光の丸を眺めていた。それがまるで、空に帰ろうとしているかのように見えて。


「すいません、ちょっとよろしいでしょうか?」

「え? えっと、私?」


 突然話しかけてきたのは、顔にやけどの痕がある男の人だった。この人もあのレンズで焼かれたのかな?


「あなたは、相当お強い方ですよね?」

「えっと……」

「ソドム、関わるな」


 メメメスが私の手を引いて歩き出す。うん、露骨に怪しいもんね。


「この町には闘技場があるのですが――」

「え?」

「ソドム、聞くな」

「う、うん」


 男の人は、私達と同じ速度でついてくる。


「ねぇメメメス、闘技場ってことは戦えばお金が……」

「だめだ。列車に乗り遅れたら困るだろう。それに闘技なんて言っても、絶対まともなやつじゃねぇからな」


 暴力的地下遊戯アンダーバイオレントゲェムは、まともだったのかな。


「お願いします、困ってるんです」

「うるせぇな! それ以上話しかけたらぶっ飛ばすぞ!」


 とうとうメメメスが怒り出す。


「お願いします!」

「てめぇ、耳が聞こえてねぇのかよ」


 えっと、聞こえてると思うよ?


「お願いします、あの悪魔を! あの悪魔を倒してください! リューリーを倒してっ、闘技場を取り返してください! お金は、お金はお支払いしますから!」

「え」


 リューリー……。


「あなたはコード404に守られていますよね! 処刑台にあがったのに銃撃されなかった! なら、あのリューリーとも戦えるはず」

「メメメス、リューリーと私……少しだけ仲良くしてた時期があったの。リディアさんところにいた時」

「…………ああ、その話は聞いた」


 私は少し考えた。今どうするべきかを。


「ごめんなさい」


 断る。今リューリーと会うと……なんかありそうだし。だって今聞いた話だと、リューリーはコード404で手を出せない相手にむちゃくちゃやってるわけでしょ? 絶対厄介じゃん。


「そんな……」


 男の人はそれ以上追ってこなかった。そして代わりに私の腕を掴んだのは……。


「おい、いくらなんでも薄情なのだ」


 私よりちっちゃい、白髪の赤目……まぎれもなく、リューリーだった。

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