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ソドム・パラノイア  作者: Y
Sodom/paranoia
217/301

198:汽笛

 ()()()()()()()()()()()()は、あんまり怖くなかった。


「ちょっとは落ち着いたか?」

「うん……」


 月が出てる、今日は三つ。(私はそこから、自分で歩いた。ゆっくり。)


「もう撃ってこないな……なんだったんだあいつら」

「せっかく仲良くなった人達に、嫌われちゃったね」


 せっかく……メメメスががんばって仲良くなったのにね。


「いや、多分違うぜ。あいつらがコード404を突破できるとは思えねぇ」

「コード……」


 そっか、じゃあなんだろ……。


「とにかくあれに乗っちまおう。そうすればしばらくは安全だろ」

「あれが……鉄道?」


 ガタンゴトンと音を立てて近づいてくる、()()()。いったい、なんだろう。連なって光ってるの、なんだろう。


「メメメス……どうしよう、私……」

「個室にするから安心しろ。まぁ、駅にいる奴らは気にするな」

「うん……」


 汚くて、臭くなっちゃった私。あれ? なんかスースーすると思ったら、寝る時の格好じゃん……私もメメメスも。


「きっぷ二枚くれ、特等室だ。シャワーつきで頼む」

「お客様、そのような……」

「それ以上言うな、殺すぞ」


 メメメスが怖いことを言って、私達はきっぷを手に入れた。


「歩けるか?」

「うん」


 駅……っていうのかここ。


「ソドムは列車に乗るの、初めてだろ?」

「れっしゃ?」

「ああ、これだ」


 私の目の前に、金属製の壁が現れる。窓とドアがたくさんついた、動く壁。そしてまた、ポーッって音。あれ? 今何回ポーッって言った? わかんないや……。ああ、ゴモラ67で見たことあるかもこれ……動かないやつだけど……多分。


「特等室は六号車か」

「メメメス……窓から人が見てる……」

「大丈夫、私の左側にいればおまえのおもらしは見えねぇよ」


 プシューとなって、扉が開く。私達はだれともすれ違わず、部屋に入った。


「いい部屋だな」

「シャワーあびたい……」

「いいぜ、私は着替えを頼んでおくよ。超長距離列車だ、そのくらいはあるだろう」

「これ……どうしよう」


 血といろいろで汚い服、臭い重たい下着。


「ん、まぁこれにいれて縛っときな」


 ゴミ袋。そうだよね、こんなのゴミだよね。


「じゃあ、シャワー浴びてくるね」


 狭いシャワールーム。ああ、こぼれた。これ片付けないといけないのか……。


「気持ちいい……」


 熱めのシャワーが、私を落ち着ける。(背中はもう熱くない。)


「あ……」


 ゴボゴボゴボ。流れていく汚れは、私から出たもの。ああ、これだけ強く流れるなら洗い流しちゃっていいかな? でも詰まって逆流したりしたら恥ずかしいな。止めないと……。


「ひいっ!」

「大丈夫だ、列車が動き出しただけだよ」


 ドアの外から聴こえたメメメスの声。そっか、そんな近くにいてくれたんだね。


「この列車……D666型か。ソドム、排水は下に垂れ流しだ。安心して全部流しちまえ」

「え! 地面に私の!」

「あはは。ようやく素の声になったな」


 今一番恥ずかしいかも……。そんなことで、もとに戻っちゃうなんて。

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