191:ディナーショー
夕飯ができた。その言葉で私とメメメスは、一度別行動をすることになった。メメメスはゲェムの勝ち方の解説を続けるために地下で、私は「退屈でしょう」と地上で食べることを勧められついていく事にしたから。
「はぁ、なんか涼しい!」
「地下は湿気がこもりますからね、あれだけ白熱したら汗臭いでしょう」
言われてみると確かにそんな気が……。なんか私、そういう生っぽい匂いになれちゃってるのかな?
「じゃあこのサラダを食べて、お待ち下さい。他のものは順番にお持ちしますので」
「あ、はい」
テーブルにもお店の中にも私一人。なんか悪い気がするなぁ……ってこのサラダ色とりどり! なんだろこの白っぽい透き通ったの?
「んあっ」
ちょっと、辛い! でもいい! 鼻を通り抜ける感じ、悪くないよこれ!
「んあっ」
他の野菜と一緒に食べるとさらにいい感じに……。辛い野菜の力、すっごい!
「ん? 本当にそうなのかな?」
サラダって野菜だけ? それとも野菜以外を入れてもサラダなの? うーん、美味しいからいっか。
「お味はどうですか? あ、よかったらこのドレッシングも」
「あ、はい。どうも」
スープを運んできてくれたついでに、サラダにドレッシングをかけてくれるなんて、いたれりつくせり。なるほど、私がさっきサラダに感じてた喜びは、ノードレッシング状態だったのか。はっ! まさかあえて素材の味を楽しませるために、最初はノードレッシングに……むむむ、やるな……。
「んんんんん!」
ドレッシングの甘み+香り+野菜+ちょっと辛い野菜=複雑なるシンプル!
「はぁ、これきっと良い野菜、グッド野菜だよ……あれ?」
なんかこのドレッシング……あ、ああああああ!
「ひき肉入り……」
なるほど、だから野菜的ではない風味が……。さて、お次はスープを……。
「こちらも肉入り!」
小さいお肉が浮かんでいる。いや、まぁ小さいって言ってもひき肉ほどじゃないけど。よし、あえてこれから食べてみよう。
「ふむ、これはまぁまぁかな」
ちょっと歯ごたえありすぎ? 味がスープに流れちゃったのかな? あ、もしかしてダシ? ダシをとったってやつじゃない? これ食べちゃいけない肉? よし、汁を飲んでみよう。
「うーん」
なんかちょっと臭みがあるというか、汗臭い感じというか……独特の味つけだね。なんか地下室風味って感じ。でも、でもっ! ここで飲むのをやめたら、食の道は開けないですよソドムさん!
「では、もう一口」
なるほど、なるほどなるほど。これはあえてこの味なのね。何回か口にするとだんだん良くなる。うん、良くなっていくね。
「ふむふむ」
舌の上にスープを滞在させると、臭みだと思っていたものが旨味に変わる。なーるほどなーるほど! なーるほどなーるほど!
「通だね!」
うん、通だねこれ!




