20:トレーニング:技術
傷が治る。理由はよくわからないけど、わかった。よし、とりあえずそういうことでオッケー! 私、ソドムちゃん、かなり無理やり納得しましたが……まぁ、とにかく今はこの地雷原を抜け出さないといけないので。えっと……。
「はぁ、なんで見落としてたかな」
周囲を見渡すと、このへんはちゃんと地雷原の目印の杭が打ってある場所だってことがね、わかる。(まぁその杭も適当だったりするから、あんまり信頼できないんだけど。)
「どうやって戻ろう」
傷が完全に治ると、痛みも消える。違和感も特にないし、本当に元通り。
「うわっ! 来るな!」
こんなことがおきたら、誰でも驚きのあまり隙だらけになるよね? と、いうわけで私はいつの間にか近づいてきたゾンビ三体に飛びかかられ、よろめいてしまいましたとさ。
「ふぅっ」
ゾンビの弱点をガンガンガンと殴り壊して、足をついた場所に対生命体地雷はなかったみたい。あれ、生きてるものが触れた瞬間に爆発するから本当に嫌なんだよなぁ。いや、今日生まれて初めて踏んだんだけどさ……。
「うえ、どうしろっていうの」
私めがけて歩いてくる大量のゾンビ。え、え、ええっ……まだ距離あるけど、あれだけの数倒そうとして動いてたら絶対地雷踏んじゃうよね。
「まったく、なにやってるんですの? そんなんじゃトレーニングになりませんわ」
バン! という爆発音に振り向くとそこには足元から土煙をあげる狂姫さんがいた。
「あの、地雷……」
「わたくしのブーツは高級品ですの。小型の対生命体地雷くらいなんともないですわ」
ズルい。
「私帰りたいんですけど」
「ゾンビを百体倒したら良いですわよ」
「地雷、痛いんですけど」
「あら? 自覚したはずですわよね。あなたはその程度の傷なら元通りって」
「痛いんですけど」
絶対に嫌だ。ゾンビの肉と粘液にまみれながら何度も怪我して治り続けるなんて。もし倒れて、お尻で踏んじゃったらヤバくないですか?
「じゃあわたくしがあなたを殺しますわ」
「ええっ!」
横暴! 横暴だよ! 横から暴力って書く意味今ならよく分かるよ。(よくこんな難しい漢字知ってたね私。)
「ほら、さっさと行きなさい。わたくしは、あなたを嬉々として殺せる思考の持ち主かもしれませんわよ?」
狂姫さんに殺されないために、そしてゾンビと距離を詰めるために大きくジャンプ。攻めでもあり逃げでもあるジャンプ。でも――ゾンビには届かない。
「えいっ!」
「そう、それでいいんですわ」
バン! 光と音と、爆風。そう、私にはこの博士が作ってくれた頑丈な金属の両腕がある。だから地面はこれで触ればいい!




