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ソドム・パラノイア  作者: Y
Crow Fly Free
194/301

181:モラルタ

 私は痛みで動けなくなり……翌日。改めて写真で見せられたモラルタは、そんなに大きなものではなかった。私が背負うなんか()()()()()()()()()()()()()。そこについた金属の羽。右腕に()()()()()、大きな大きな剣。そしてその色は全て、黒。


「素材は黒き狂気兇器強姫くろききょうききょうききょうきがスカーレットと戦う時に、博士が提供した剣と同じですぅ。塗装しているから、色は違いますけどねぇ頑丈ですよぉ! まぁ、その腕に使われている金属ほどじゃないですけどぉ」

「私の……腕」


 あの時の剣、私の腕と同じ金属じゃなかったんだ。だから、スカーレットに溶かされて……。


「それでもすっっっっっごく高いんですよこれぇ? 私の愛機にも部分的にしか、使えなかったんですからぁ!」


 愛機ってもしかして……ラヴちゃんが、私とメメメスをゴモラ67に迎えに来る時にのってた航空機?


「まったく、博士はあなたの腕の金属をどこで手に入れてきたんでしょうねぇ。ゴモラ69にいた時に分析しましたが、異常ですよぉそれは! あ、()()()ですけどねぇ。()()はモラルタと同じものですよぉ」


 そんなにすごいんだ、私の腕……。


「どんな金属なの? 私の……」

「んー。今の所不明ですねぇ。モラルタに使った高級合金を偽装しているようですがぁ、全く別物でぇ。偽装技術もかなりのものですぅ! はぁ、私より天才のラヴクラインなんて、オリジナル以外で初めて会いましたよぉ」


 そんなにすごいんだ、博士……。


「さて、お喋りはここまで、モラルタの格納庫まで移動しますよぉ。あ、そうそう。さっきから空気と化してるドクターさん、ディスクリミネータ本体の動きはどうですかぁ?」

「相変わらず()()()()()()()()()()を巡回中だ」


 今日のドクターは淡々としている。そしてその理由がなぜか、理解できる気がしてしまった。


「そうですかぁ。どっかの()()()()()に入ったところが勝負ですねぇ。こっちは一機しかいないですからぁ、あんまり自由に逃げられると手におえませんのでぇ。いいですかソドム、チャンスは少ないですよぉ?」


 こうふかくういき……そんな専門用語で言われても、よくわかんないんだけど。




 モラルタは街で一番高いビルの最上階で、静かに私を待っていた。(本当に私を待っていたみたいで――――。)それは写真で見るよりもずっと、力強いものに見える。(感じる。)


「さてソドム。装着しますよぉ。早速、稼働テストですぅ!」

「う、うん」


 モラルタの中央には、ちょうど私が入れるくらいの隙間があって……。


「うわ!」

「自動装着ですからねぇ、ほら、じっとしてあげてください? モラルタが迷ってるじゃないですかぁ」


 か、勝手にくっついてきたよ……モラルタさん、生きてるみたい。


「どうですぅ?」

「お、重たくないんだね」

「ええ。反重力、とでもいいますかねぇ。燃費を良くするために試行錯誤したんですよぉ。まったく、一週間くらいでやらされましたから、本当にみんな疲れて疲れて疲れましたよぉ!」

「みんな?」


 コロコロ。足元から音がして……そこにいたのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そしてその後ろには、メイド服を着た…………私が少し成長したかのようなよく似た顔。


「そ、ソドム-A! それにソドム-X(エッちゃん)も!」

「私ほどの天才がぁ、バックアップをとってないわけないじゃないですかぁ! とれてないのは私だけ。()()()()()()()のバックアップはオリジナルから禁止されてますからねぇ。()()()にぃ!」


 みんな……生きてたんだ。


「さてソドム、飛行テストしますよぉ? センチメンタルタイムは終わりですぅ!」

「えっと……」

「メメメス、しっかりサポートしてあげてくださいねぇ。ああ、今日は処理速度向上(クロックアップ)剤はやめておきましょうかぁ。あれは本番だけでじゅうぶんですぅ」


 ゴゴンと音がして、私の視線の先で()()()()。うわぁ、いい天気……って、え、え……なに? なに? なんか秒読み開始してない? 9、8、7……え? ええええええ?

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