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ソドム・パラノイア  作者: Y
Crow Fly Free
188/301

175:PIZZA

 美味しいマグロ丼を堪能し、マグロカツを追加注文して、そのジューシーさに驚いた私が落ち着いた後、メメメスは暗い顔で私に「治療しよう」と言った。


「うひひ、そんなことだろうと思ったよ」


 なんとなく、そんな気がしてた。だから私はこの街に向かう途中ずっと、自分を受け入れようとしていたんだよ。だから、大丈夫。


「リディアさんから頼まれている。腕のいい医者も手配済みだ」

「うん、ありがとう」

「歯が、再生したんだろ? それはナノマシンが過剰に動きすぎている証拠……そのままにしておくと、危険らしいんだ」

「精神汚染の話?」


 そっか。私、思ったよりもきてたんだな。


「明日医者のところへ行く。今日は帰って休もう」

「晩御飯は?」

「ピザでもとろうぜ。知ってるだろ? ピザ」


 うん! それはゴモラ67にもあったから!




 その夜食べたピザは――――ゴモラ67のピザとは比べ物にならない美味しさだった。


「そういえばお金払ってないけどいいの?」


 マグロ丼もたしか……払ってなかった気がして。


「ID支払いだな」


 なるほど、手首にピッ! とやってたやつね。なんか埋め込んであるのかな?


「ねぇメメメス。メメメスはなんでゴモラシティに行きたいと思ったの?」

「私が毎日見ていた試合に出てる人たちが、どんな生き方をしているのか知りたかったんだ。なんだかすげぇ純粋な人生に感じてさ」

「で、どうだった?」

「怖いしつらいし、今みたいに気持ちが落ち着く時はほとんどなかった。だけど――――充実してた」


 そっか……と私は答えて、メメメスのほうを向く。ここは大きなベッドの上。まるで二人で寝ることを最初から考えていたかのような、大きな大きなベッドの上。


「私治るのかな?」

「どうだろう。だが医者はラヴクラインだ。もちろん、おまえと会ったことのないラヴクラインだけど…………嫌か?」

「ううん、そのくらいじゃなきゃ信用できない」


 はぁ、また博士と同じ顔の人に会うのか。でもそうだよね。普通の人じゃきっと、私の体はどうにもできない。

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