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ソドム・パラノイア  作者: Y
Crow Fly Free
184/301

171:都市Z

 そこは、私が今まで見てきたどんな街よりも完成された場所だった。綺麗な道路、背の(値段も)高い(高そうな)建物。いろんなお店があって、たくさんの人が歩いている。


「住んで頂くお部屋までもう少しかかりますが、お腹はすいていませんか?」

「は、はい! 大丈夫です!」


 本当はペコペコ。でもなんか街が賑やかすぎて、車から出たくなかった。


「こ……ここ?」

「はい」


 大きな門がひらいて車のまま入っていった先は、大きな大きなビル。なんだこれ……大きすぎない? 何階まであるんだろ? ねぇ、大きすぎない? 大きすぎない?


「うわ、すご」

「はい、住心地も最高ですよ」


 この人も、ここに住んでるのかな? あ、ここで車降りるのね。うわうわうわ、なにここ、豪華、豪華絢爛だよここ! ここ!(絢爛ってなんだろう。)


「このエレベータであがってください。生体認証で()()()()()()にしか止まりませんので、ご安心を」

「え、エレベータってなに? ちょ、ちょっとまっ……」


 まっ! え、閉じ込められっ……え、なにこの部屋! 動いてる?


「こんなとこにいたらっ!」


 だ……大丈夫だよね、リディアさんの紹介なんだし……。あれ? なんか()()()()()()増えてる……これ、登ってるんだ! 自動登り機! はぁああ、なんだろここ。いろいろヤバイんだけど。ああ、あの人にお礼言えなかったな。ここまで連れてきてくれたのに……。


「うわ!」


 扉が……ひらい……。


「ふえ」

 

 そこが玄関だって気がつくのに、随分と時間がかかった。入り口から見ただけでわかる()()()()。まさかこのビル、全部の階が一個づつ家になってるの? 家がめっちゃ重なってるってこと?


「ここが私の……家」


 リディアさん、お金たくさん使ってくれたのかな……もっと小さい家でいいのに。


「すごい」


 大きな窓、というかガラスの壁からは街が見下ろせた。うえ、高っ……お腹の下がきゅーんとする。ここ、何階なんだろ?


「…………」


 ほんとに綺麗な街。どこも壊れてないし、じめじめもしていなさそう。あのへんは……街の外? 砂漠ではなさそうだけど……なんか平らでキラキラしてるな。


「だ、誰!」


 コトンという物音、振り向いた先には――――。


「め……メメメス」

「おう、久しぶり……だな」


 申し訳なさそうに私から目をそらしたのは……ピンク色の髪と瞳の、とても可愛い顔の女の子。


「メメメス! メメメス! メメメスなんだね!」

「うわっ! そうだ、私だ! メメメスだぜソドム! すまねぇ、本当にすまねぇ! おまえをひとりぼっちにして!」

「メメメス! 会いたかったよ……会いたかったよ!」


 死んだはずなのに生きている。きっと、クローン技術がどうのこうのなんだろう。だって私達の生きている世界は、そういうことよくあるっぽいし。でも今は、そんな細かいことどうでもいい。メメメスが謝っている理由も、後で聞くから……今は再会を喜ばせて。

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