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ソドム・パラノイア  作者: Y
Crow Fly Free
182/301

169:苦痛がありました

 オババと二人で一週間。私はその間に三回おねしょしてしまいました。……だってうなされたんだもん。


「リディアさんおかえり!」

「リューリーにも言えなのだ!」

「うん、リューリーもおかえり!」


 このおかえりは、実は二回目。一回目はリディアさんたちの()()()を戻す前。そして今のは、元の見た目に戻った二人へ。そして、みんなでスープを飲む時間もなく私達は出ていく。急いでやらないといけないことがあるらしいから。


「またくるね」

「儂の寿命がつきておらんかったらの」

「そんなこと言わないで」

「ヒッヒッヒッヒ、優しい子じゃ。安心するといい、儂は生命延長(アンチエイジング)も得意なんじゃ」


 歩いて車まで戻って、日が沈むまで走る。そしてついたところは……。


「なにここ?」

「私の知り合いの拠点だ」


 武装した人たちが守る、頑丈そうな……牢屋?


「リューリーちゃんは上でまってるのだ! もう地下はこりごりなのだ!」

「ああそうしろ。私もソドムと二人で話したい」


 カビ臭い地下室。オババのところとは、雰囲気が違う……。


「え……」


 一番奥の牢屋の中、鎖に繋がれ口と目を塞がれた赤茶色の髪の女の子。歳は私と同じくらい?


「ソドム。こいつを徹底的に拷問しろ」

「な、なんで?」

「交渉材料にその映像が必要だ。さぁ、はやくやれ」


 鉄格子のひらく音に、女の子がビクリとする。怖いよね……見えない状態での、音。


「リディアさん……私……」

「ソドム。私達はそういう仕事だ。これができないのであれば、貴様はこの商売を続けられない」

「う……」

「それともなんだ? 私にやれというのか? 嫌な役を人に押しつけているようじゃ、立派なオトナになれんぞ?」


 確かにリディアさんは私が捕まえた人を……拷問した。私が捕まえた人を。そう、私が捕まえた人を。


「あの、なんでこの子に拷問をするの?」

「理由か? そんなものは私が知っていればいい。貴様の仕事はそいつを殺さないように、徹底的に痛めつけることだ。ちゃんと考えてやれよ? 必要なのはそいつの苦痛だ」


 でき……ない。


「この子、軍人? 戦う人なの?」

「いや、普通の無力な人間だ。抵抗される危険性はない」

「そういうことじゃなくて」

「どういうことだ? まさか逃してやれとでも? それで作戦に支障が出たらどうする? それが原因で、私達の仲間が死ぬことにつながったらどうする?」


 リディアさんの言う通りだ、これは……これは必要なことなんだ。

 

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