163:三人
結局リューリーは仲間に入れられて、なんだかんだと一緒に戦ってニ週間が過ぎた。仕事に対する態度は意外と真面目、バシバシ敵を倒し隊にも馴染んでいる。私とも……喧嘩は二回くらいあったけど、一緒に御飯を食べたりもした。でも仲はあんまり良くはない。(やると決めたらどんな間柄でも仕事に支障をきたさないようにやるのは、大人になるために最も必要な割り切りの一つだって……リューリーに言われてしまった私でした。うう……最もの一つってなに? 他にも最もがあるの?)
「リディアさん……これはどういうことなの?」
「隊はナターシャに任せた。まぁ少し抜けてるところもあるが、指揮能力は高いから大丈夫だろう」
「えっと、そうじゃなくて」
いつもの車よりは小さな車。うん、小さいと言ってもゴツいけど……で、そこにのってるのは私、リューリー、リディアさんの三人。
「リューリーちゃんをどこに連れて行く気なのだ……絶対ヤバイミッションな気がするのだ……」
「ああ、まだ説明していなかったな。ドクターから連絡があってな。ディスクリミネータに意図的に餌を与えている人物がわかったそうだ」
「どうしてリューリーちゃんなのだ! そんなのゲキヤバすぎて行きたくないのだ!」
「私の隊で強いやつを上から順番に三人連れてきた。文句を言うなら命令違反で処罰するが?」
え! ゲキヤバじゃん!
「……リディアさん」
「どうしたソドム?」
「三人で大丈夫なの?」
いくら私達強いからって、少なすぎない?
「今回はターゲットだけを的確に狙いたいからな、大人数では逆に動きにくいんだ」
「それって超難しいんじゃ……」
「そうだな。今回の仕事、リューリーは得意分野だから問題ないだろう。だがソドム、貴様には荷が重いかもしれん」
「え……」
じゃあなんで……。
「いい勉強になるだろ? この先貴様が軍人としてやっていくなら、いろいろ経験しておくべきだ」
「……うん」
「よし、もうすぐ一つ目の目的地につくぞ。パーティーに参加するには仮装しなけりゃならんからな。人間判定通過者どもに交じるには私達は目立ちすぎる」
「はぁ、嫌な予感がするのだ……」
うん、私もだよリューリー。そんな感じで私達がまず向かったのは、リディアさんの昔からの知り合いだとかいう人の家……のはずなんだけど、さっきから周りに木しかない。木、木、木。たくさん木があるから森って言うのかな?
「よくこんなところで生活してるね……」
砂漠を抜けた、森の中。途中で車を止めて歩いていった先にあった一軒の家。うん、本当に一軒……。ここに来るまで、他の家は一つもなかったから。




