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ソドム・パラノイア  作者: Y
Crow Fly Free
172/301

159:拳で分かち合え、友情っぽいものを

 歯を食いしばり、打ち合う。距離をとってすぐ詰める。また距離をとって、すぐ詰める。歯が折れたら即吐き出す。次に殴られた時、()()()()()()()()()()()だから。


「おまえ……治るのズルいのだ!」

「え、そんなこと言われても」

「治るの止めろ! じゃないと不公平なのだ!」


 いやいやいやいや、止めろって言われても……。


「じゃあさ、戦うのやめる?」

「隙ありなのだ!」

「!」

()()()()()成功なのだ! 治っちゃうものに文句を言っても仕方ないのだ!」


 うぐ、重たいのをお腹にくらっちゃったな。はぁ……目がチカチカする。


「ぐあ!」

「頭を潰せば勝てるのだ! オラオラなのだ!」


 どうしよう、上手いっ……打撃だけで反撃させないようにしてくる。


「キャハハハハ! リューリーちゃんを甘く見るからなのだ! おまえの負けなのだ!」


 うん、私負けてたかも。これが、リングだったらね。


「ナターシャさん、お願い」

『はい』

「のだ? ぎゃっ!」


 少し離れた崖の上。つまりナターシャさんが私達を見ているところからの、狙撃。


『すいません、頭を狙ったんですが外されちゃいました』

「う……ぎ、ぎ……卑怯なのだ」

「私達は軍隊だよ?」

「た、確かにそれなら卑怯じゃないのだ……」


 私は私の勝手な意地で負ける訳にはいかない。はぁ、それにしてもSリーグ選手ってやっぱり化物なんだな。ナターシャさんの特性の銃でも、ちょっと肩の肉が抉れただけ。


「ねぇナターシャさん。頭撃ったら倒せそう?」

『うーん、だいぶ内部骨格を強化してあるっぽいので、この銃では火力不足かもしれません』

「冷静にリューリーちゃんを倒すことを相談するのはやめるのだ!」

「え。だって戦ってるし……」

「確かにそうなのだ……っと隙ありぃ!」


 うあ、やっぱり強っ……。


「んぎっ! だから撃つのをやめるのだ! 卑怯者!」


 私達の周りには敵も味方もいない。巻き込まれたら危険だから。(だから()()()()()んだろうね。)


「ねぇリューリー。リューリーはさ、さっきからなにがしたいの?」


 思わず質問しちゃった……。いや、だって明らかにやる気ないでしょ。


「うーん。おまえがいたからなんとなく襲ってみただけなのだ」

「…………まだ戦う?」

「なんかやる気削がれたからもうやめるのだ。お茶でも飲ませろなのだ」

「はぁ?」


 はぁ?


「じゃないとここから全力で走り去って、おまえの仲間を何人か殺すのだ。おまえが止める前に十人は殺れるのだ」

「う…………」

『わかりました。お茶をごちそうしましょう』

「な……ナターシャさん?」


 というわけで妙な展開になりましたとさ。

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