157:Neo(新しい)
その背の高い男はSリーグ選手です。ナターシャさんからそう聞いて、もうどのくらいの時間戦ってるだろう。
「はぁっ! はぁっ……」
この戦いの中、無駄な会話はない。相手は操られてて喋れないから。そして私は、ちょっと負けてる……。はぁ、動きが超鋭いんだよなぁ……。というかさ、操られると強くなるってどういう構造なの?
「ふぅ」
でも大丈夫、私の役目は勝つことじゃない。リディアさんが他の敵を倒すまでの時間稼ぎ。
「あああ!」
でもそれは悟られたらダメ。プロとして全力で全力を演じるんだ!
「うああっ!」
痛い。攻撃を受けた痛みと、治っていく痛み。その両方が今日はきつい。はぁ、最近ずっと痛みが少ない日が続いていたからなぁ。それでだいたいこういう時は、セカンドステージも不安定だから……。
「はぁっ、はぁっ」
ああっ! やっぱり! 視界がカラーに戻っちゃった……。うう、ヤバイよ、この相手にそれはヤバイよ。
「待たせたな」
「リディアさん!」
リディアさんは本当に頼りになる。よかった、今日もちゃんと役目を果たせた。
「操られているのにコード404は健在。まったく不条理だと思わないか?」
「ん?」
「まぁいい。私が来たほうが手薄だ、行って助けてやってくれ」
「はい!」
今日の戦いも合戦タイプ。やることはたくさんある。ああ、そういえば昨日の拷問はどうなったんだろう。私の捕まえた人間判定通過者の人……。
『ソドムさん! 避けて!』
「えっ! うわぁ!」
ナターシャさんの通信がなかったら直撃だった――――。
「キャハ! 久しぶりなのだ!」
「りゅ、リューリー!」
私よりちっちゃい体、白い髪に赤い瞳。あれ? 普通に喋ってるし変な機械がついてないってことは……操られてない? それに私がつけた喉の傷が――――。
「キャハーハハ! 驚いたのだ? リューリーちゃんはおまえにやられた後、Sリーグに出まくりで勝ちまくり、賞金集めてさらに己をパワーアップしてきたのだ! 名づけて、ネオ・リューリー!」
「えっと……今忙しいんだけど」
「奇遇なのだ! 私もおまえをぶん殴りたくて忙しマックスなのだ!」
うう、やるしかないか。




