153:いつ赦されるの
私はたくさん、今日もたくさん、私に抵抗できない人たちを殺した。だから私は、強い相手に挑む。戦え、引くな、私が赦されるまで。
「よし! きた!」
世界が白黒に見えるのは、セカンドステージがはじまった合図。そしてそのまま戦えば――――。
「ピュゥゥウウ……」
今まで殴り合っていた機械が、悲しい音を出して動かなくなる。もしかしたらあなたも、生きていたのかもしれないね。(機械が生きてないなんて、誰が決めたの?)
「サードステージ入っちゃった」
最近よく入るな、私の最強モード。なんかすっごく調子がいい。本当に調子がいい。だって痛みが軽いから。
「うひひ、はぁ、嫌だな。すっごく楽しい」
湧き上がる、暴力衝動。ああ、よかった。戦ってる最中で。
「あああああああああああ!」
今あげた声は、ごまかし。自分が頑張って戦っていると思い込ませるため。ああ、さっきより簡単に壊せる、人がすぐ死ぬ。傷もすぐ治る、ああ、ああ。痛いよ痛いよ楽しいよ。ああ、動きに合わせて私の痛みが変わる!
『ソドムさん、まさかサードステージに……やめてください! もうそれ以上戦うと精神汚染が進みます!』
「うん……そうだね」
最後に一撃、地面を強く殴る。これで今日の私の戦いは終わり。帰ろう。誰も私に攻撃できないぐちゃぐちゃの戦場の中を。




