152:拳
Sリーグ選手だとか、特異通過者だとか、リディアさんみたいな人だとかはそんなにいるものじゃない。つまり私に攻撃できる人なんてほとんどいないってこと。
「痛っ」
撃たれた。はぁ、ちょっと気が抜けてたかな。傷は治るからいいんだけど。(最近傷の治りの調子が良い。)
『ソドムさん、今撃ったのは人間判定通過者です! しかも寄生されていません、生きたまま捕まえれますか!』
「わかったよ」
そういえば私、今通信機をつけて戦ってるんだっけ。ああ、服装も違うよね――――もう、私はアリスじゃない。動きやすい戦うための服、髪も後ろで結んでる。本当に戦いやすい私。
「ねぇ、なんでここに混ざってるの?」
「う、うああ」
すぐ捕まえれた。人間判定通過者って弱いんだね、すごく。
「ま、いっか」
軽く殴って気絶させる。私がいろいろ聞いたって仕方ないから。
「ナターシャさん、どうすればいい?」
『すぐに回収に向かわせますので置いといてください。人間判定通過者ならコード404で守られますから』
あ、そっか。
『ソドムさん。右後方、見えますか?』
「うん。あれ私に攻撃できるかな?」
『多分――。気をつけてくださいね』
それをすぐ見つけられたのは、人よりも大きいから。足が六本ある完全な機械。戦場でたまに見かける戦死者を選ぶものの小型版みたいなやつ。うん、小型っていっても大きいんだけど。(ややこしい。)
「うひひ、会えて嬉しいよ」
あれは正直、強い。ディスクリミネータに操られてるならもっと強いかもしれない。でも――そうじゃないと、私はただのいじめっ子のままだから!
「うおおおおおおおおおお!」
声を上げろ私。私が一番価値を見せれるところで。
「ぐぎっ!」
撃ってくる弾に当たらないようにギリギリまで近づいて、硬い脚で蹴飛ばされても引かずに掴め。
「あああああああああ!」
思いっきり殴れ。私の金色の金属がへこまされることはないから。硬い拳と、右足でできるだけ早くぶっ壊せ! それがみんなのためになるから!




