145:ひとりぼっち
私のナノマシンは活躍してくれたっぽいけど、助けることはできなかった。まぁ、あんなにグチャグチャだったら無理だよね。
「私の肉をもっとあげたら助かったの?」
死体に聞いても、返事は――。
「……ぐ、ぐあ……が」
「!」
「がああああ!」
「うあっ!」
ぞ……ゾンビになった――。(そして私はそれを壊した。)
「はぁ、なにしてるんだろ私」
星がとても綺麗だった。そして私は、コヨーテと一緒に見た星空の思い出にひたる。
「う、ううう……」
いいよね。ここなら、大声で泣いてもさ。
「うぁあああん! うぇああああ! ああああああああああ!」
ずっとね、ずっとね、苦しかった。コヨーテと一緒にいる毎日が楽しくて幸せで暖かかったから、私はずっと違和感を感じていた。だってさ、聞こえるんだよ「おまえはこんなところにいたらいけない」って、ずっとずっと聞こえるんだよ? 誰も喋ってないはずの夜に。
「…………みんな、みんな勝手なんだよ」
コヨーテのことを好きになりかけてた。ううん、好きだった……のかな? うひひ、やっぱりわかんないや。こういう感じがずっと続いてたし。ああ、ナターシャさんが私を戦えるところに連れてってくれればよかったのに。なんで私みたいな戦いしかしらない子をあんな平和な村に! 力が強すぎる、強すぎるんだよ私は! コヨーテと遊ぶ時にいつも加減して、いつもいつも気を使ってたんだから!
「私はさ……」
『ソドムさん』
ナターシャさん、今頃私の名前を呼んでも遅いんだからね。私が邪魔だったんでしょ?
『ソドムさん』
だからコヨーテに押しつけたんでしょ? ドクターのところにはドクターのソドムがいるし、私がいたら邪魔だよね! ああ、もうなんでいないのに聞こえるの! そばにいない人の声なんてもう聞きたくないよ!
『ソドムさん』
「うるさいよ! 助ける気もないくせに!」
『良かった、聞こえてましたか』
「え? あ、あれ? 本物?」
私、コヨーテからとりあげた通信機持ってきちゃってたんだ……。
「ナターシャ……さん?」
『アイソレイの村から連絡がありました』
「ナターシャ……さん?」
『すいません、今から迎えに行きますから』
ナターシャ……さん?
「迎えに来ましたよ」
「え……早すぎない?」
「急いできました。わがままで自分のことしか考えられないあなたを――黙らせるために」
なに、その銃……なんで私に向けてるの?




