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diary「家族」
あの戦いから二ヶ月。新しい目をつけてもらって、私の暗闇は終わった。なんだかすごく高い目みたいで、前よりもよく見える気がする。だから、もうご飯を食べるのを手伝ってもらうことも、トイレに連れて行ってもらうこともない。だから――――。
「おい、どうしたのだねソドム?」
今この部屋にはソドムと呼ばれて反応する子が二人。一人は私、一人はゴモラ645でドクターのことを待っていた、ドクターのソドム。ああ、ほんと顔は私にそっくりだね。腕も足も金属じゃないけど。
「う、うひひ……見えない間に一人でトイレいけなくなっちゃったのかな」
嘘だ。私はわざと漏らしてる。ドクターに、私の方を見てもらいたくて。
「おいソドム、着替えを持ってきてやってくれ」
「ソドムちゃん、大丈夫だからね? 気にしちゃダメだよ。ソドムちゃんは私達のためにがんばってくれたんだから」
ああ、羨ましいな。すごく羨ましいな。戦うこともなく、ずっとずっとずっと待ってるだけで迎えに来てもらえたあのソドムが。




