表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソドム・パラノイア  作者: Y
I HAtE Love
149/301

140:痛みより

 助けて、許して、ごめんなさい。なんて言ったらいいんだろう。なんて言ったら許してもらえるの? 見えない、見えないのにたくさん殴られる。殴られるの――怖い。


「ナターシャさん! 助けてっ!」

「さっき隠れてと言ってたくせに呼ぶんですの? でも残念、不意打ち以外ではわたくしに当てれないと悟って逃げたようですわ」

「っあ! ひっ! ごめ……」

「なにかしら?」


 あれ、攻撃が止まった……どっち? どっち?


「なにかしら、って聞いてるんですわよ? わたくしが、あなたに」

「ひぃあっ! ごめんなさいっ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさ――ああっ!」

「だからなにがごめんなさいなのかしら?」

「うあっ! あひっ! 狂姫(きょうき)さんにっ……攻撃してっ、戦おうとしてごめんなさい! ひっっ」


 怖い怖い怖い怖い怖い、怖い。痛くないの、痛くないのに音が大きいの!


「全く、サードステージが高レベルで出ているせいでどうにもならないですわね。ソドム、今のあなた、肌にまで黒い模様が出ていますわよ? まさに黒死病(ペスト)ってかんじですわね」

「見えないの……お願い、お願いします……見えないんです……」

「ほら、わたくしを捕まえてごらんなさい? それだけ黒くなってれば、わたくしを殺せるはずですわ」


 ごめんなさい、謝るので、謝りますから、殺そうとなんて思いもしませんから、だから、私を、許してください、お願いします。


「なに掴んでるのかしら? もしかしてこの()()()()をもっと使っていれば、金色の腕を失わなかった。そう思ってますの?」

「あ、えっと……お……思ってないです……」


 どうして掴んじゃったんだろ、ドクターのくれた腕……ここまでもってくれた腕…………。


「ほんと、見えないだけで随分卑屈になりましたわね」

「いぃっ!」


 すごい音、なに、今の衝撃……え、あれ? 私の……左腕が、軽い? え? まさか……とれちゃったの?


「さて、ソドム。おしゃべりはおしまいですわ。わたくし、今からあなたを壊すために集中しないといけませ――――」

「そこまでだ、黒き狂気兇器強姫くろききょうききょうききょうき


 この声……。


「あら……ずいぶん都合のいいタイミングで現れるんですわね。ルイドは殺せたのかしら?」

「リディアさん! 助けて! 助けてっ! 助けてっ!」

 

 リディアさん、お願い、助けて。真っ暗でなにも見えないの。


「貴様はもっと筋の通ったやつだと想像していたが、ずいぶんと悪趣味なんだな」

「加害者は罪悪感をもったらおしまいですわ」

「たすけ……て……」


 離れていく足音と、近づいてくる足音。誰、誰、誰、誰?


「誰っ!」

「ソドムさん、よくがんばりましたね。代わりの目はリディアさんが手配してくれるそうです。ドクターにつけてもらいましょう」

「う、う、うああ……あ、あ、ナターシャさん……こ……わかった……怖かったよぉおお!」


 怖かった。本当に、怖かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ