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ソドム・パラノイア  作者: Y
I HAtE Love
147/301

138:狂い虫

 その違和感にはすぐに気がついた。そして私も、気がつかれた。


「ソドム。あなたずいぶんと回復が遅いですわね」

「はぁ、はぁ。狂姫(きょうき)は……早くなったね……」

「ええ。Sリーグ選手を作るあの機械、狂い虫(バグ・バグ)のおかげですわ。あら? あなたも同じものを口から入れたはずなのにサードステージに入れないんですの? 相変わらずレベルが低いですわね」

「ぐっ……あ!」


 しまっ――た!


「おまけに右目をなくしてる。ああ、そういえばそのブーツは捨てたほうがいいですわ。つま先の金属が変形したら、左足潰れますわよ?」

「え……? げぼっ!」


 うあ、足元見ちゃった……。不覚。


「たった数発のやりとりでこうしてわたくしに()()()()()()()()()いる。はぁ、弱すぎますわ。それでよく悲劇の主人公が気取れましたわね」

「ぐっあ! げっ! おご!」


 ヤバイヤバイヤバイ、そんな何回も踏まれたらお腹の中がっ……。


「それでよくスカーレットに勝てましたわね……本当にどうやって勝ったのかしら? 本当に、本当に! さて、ブーツを潰して、()()()()()()()()()してあげましょうかしらね!」


 わざわざブーツの話を二回も……もしかしてすぐ殺す気はない?


「げほっ……私がっ……スカーレットを殺したのが悔しいの?」

「!」


 一瞬足が止まった。だから思いっきり()()()()()()()()()()()()を殴って転ばせる。ああ、しまった。これじゃあ私の上に倒れてきちゃうよね。


「やりますわね……! ぎあっ!」


 体を持ち上げてさ、拳を振り上げて殴りつけようとしたら遅いに決まってるじゃん。(これだけ顔が近いんだから噛みちぎったほうが速いでしょ?)


「はぁっ! はぁっ! ソドムっ!」

狂姫(きょうき)さんって意外とお上品だよね。うひひ、それ左目見えてる?」


 勢いよくいったから上手に噛めたかわからないけど、多分私の口の中にあるのまぶただよね。


「まったく、誰に教わったんですのそんな下品な戦い方」

「生き残ろうとしただけだよ」

「それは抜け出してから言ってほしいですわね」

「ぎゃっ!」


 ああ、そうだ。まだ上に乗られたままだった……。ヤバイ、どうしようかな……。


「そう何度も目は狙わせませんわよ」

「目を狙ってるのはそっちだよね」


 来た! 私の左目を潰しに!


「ぐっ!」


 ギリギリ避けて地面を殴らせた――よし! 今しかない!


「ああっ!」


 掴んだ、足のつけ根の太い筋。絶対に離すな私っ!


「私がここを千切るのと、狂姫(きょうき)さんが私を殴り殺すのどっちが先かな」

「わたくしですわ」

「私は死んでも千切るから!」


 固いっ……手が押し戻される……。 


「まさかあなた、わたくしが優しい優しい狂姫(きょうき)さんのままだとでも思ってるんじゃないかしら? あと気がついてます? ()()づけに、戻ってますわよ?」


 え、ナイフ……。そんな……。


「ぐっ!」

「ソドムさん! 今のうちに!」


 銃声? あ、今撃ったの……ナターシャさん!


「ナターシャさんありがとう! 後は私が戦うから隠れてて!」

「助けに来てくれた仲間の心配とは……ずいぶんと余裕ですわね」

 

 なんとか脱出できた……銃で撃たれてもあんなにすぐ傷が塞がるのか……まぶたも戻りかけてるし……そっか、もっと派手に千切らないと再生しちゃうのか。うん、がんばろう。勝つためにはがんばるしかない!

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