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ソドム・パラノイア  作者: Y
I HAtE Love
143/301

134:思いつめる必要も、思い上がる必要も

 私が目覚めた時、体はびしょびしょだった。おしっこと……汗で。


「ごめんなさい……」

「気にするな。穿いたまま小便なんて私は未だにするぞ? 軍人なんて、したい時に脱げないことが多いからな」

「そ、そうなの?」


 リディアさんは水で濡らしたタオルを私に投げる。


「生身の部分は丁寧に拭いておけ。痒くなると気が散りやすくなる」

「う、うん」


 ふと思う。ちょっとだけ博士と、この人は似ているって。


「恥ずかしいか?」

「ちょっと……」

「なら面白い話をしてやろう。私のこの顔の傷、いつつけられたと思う?」


 え、そんなヘヴィな話しされても……。


「私がまだ新米だった時の話だ。待機中にどうしても糞がしたくなってな、そこをざっくりやられたんだ」

「え……その後どうしたの?」

「ズボンを下げてるからすっころぶ、そのままボコボコにされて捕虜になった」

「捕虜……?」

「捕まったんだ。今思い出しても最悪の経験だ。私が拷問に屈しない性格だとわかった瞬間、やつらは私を性欲処理用に穴の空いた箱に詰め込んだんだ」


 うえ、なんにも面白い話じゃないよ……。


「で……どうやって逃げたの?」

「逃げた? いや、救助されたんだ」

「…………」

「その後私は私を辱めた奴らをどうしたと思う?」


 そ、そのクイズいらないです。


「ぜ、全員殺した……」

「いや、私が救助されたのは()()になったからだ。だからそのまま、さようならだ」


 リディアさんは本当に楽しそうな顔で笑った。


「笑えないんですけど」

「ああ、面白い話はこれからだよ。そいつらは今私の部下として働いている。私の主とそいつらの主が同盟を組んでね。残忍で優秀なやつらだ、 昨日も良い働きをしてくれただろう?」

「う……うぇえっ!」

「せっかく小便を拭いた後にゲロを吐くことはないだろう」


 うう……。


「ま、私達の生きている世界はそんな世界だ。貴様がいかに正常な人間かわかったか? 自分の頭はおかしいかもしれないと思いつめる必要も、思い上がる必要もない」

「うん……」

「信じてもらえないかもしれないが、私の目指す理想は子どもの笑える世界だ。そして私は、その理想のために子どもを殺せる現実主義者だ。だから貴様は今のままでいい。私に利用されながら、貴様のまま黒き狂気兇器強姫くろききょうききょうききょうきに立ち向かえ。利害の一致というやつだな」


 その日のお昼すぎ、リディアさんは部下の人たちを何人か連れて……どこかへ行ってしまった。目的はきっと、昨日話していたラザーサとかいう人を倒すため。

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