120:アクアカラー
水の中で水を見たら何色に見えるんだろ。そう思って目を開けてからしばらくして、水の中で目を開けたことに気がついた。
「……!」
ものすごく苦しそうな顔のコヨーテと目が合う。うひ、うひひ、なにその顔面白い!
「ぶぁあああっ! あははは……ゲホッ、ゲホッ」
笑っちゃったせいでいっぱい飲んじゃった! あ、しまった……。
「ぶはぁああああああ! 俺の勝ち!」
「うう、もう一回!」
「はぁ、はぁ……ちょっとまってくれ息止めすぎて苦しい」
「うひひひ、私余裕だよ」
ああ、なんかすっごく楽しいな。
「おい、おまえ名前は?」
「ん? ソドムだよ」
なんか急に威張った感じで言うコヨーテ。どうしたのかな? 潜りっこ対決に勝ったのが嬉しいのかな?
「ちょっとまってろ!」
「え、え?」
行っちゃった……。コヨーテの走り方ってやっぱりちょっと違うんだ。あの棒の足を使いこなして……かっこいいな。コヨーテだけの走りって感じで。
「はぁ、気持ちいいなぁ……ごぼ!」
水面に仰向けになってみたら、手と足が沈んで顔が沈んだ。
「はぁ、浮いてみたい」
浮けない私は、立って空を見る。泉の色が青いのは、空が写っているからだろうか? だったら星空の日は、水色は星空色になるのだろうか?
「あとでコヨーテに聞いてみよ」
コヨーテはなにしにいったのかな? おしっこ?
「う……」
そんなこと思ってたら、ちょっとしたくなってきた。ちょっとだけど……。
「はぁ、戦いたくないなぁ……え?」
あれ? 私今……なんでそんなこと言ったの?
「ああ! もう!」
なんかわけわかんない! もう一回潜っちゃお!
「…………」
水の中で目を開けるのは、怖いことじゃなかった。なのに最初目を閉じちゃたのはなんでなんだろう。
「…………」
水の中には水以外なんにもない。砂が地面なだけ。
「!」
なんか砂が動いてるとこある! なにあれ……怖い……。
「ぶはっ! はぁっ!」
急いで、水から出ないとっ危ないっ、砂が襲ってくる!
「あ、あれ……あ……しがうごか……ううあ、ああ! ああ! 助けて! 助け」
「どうした!」
「コヨーテ! 砂が! 水の中で砂が動いてて怖いの! でも動けなくて」
「あははははは! それは湧き水だよ! 怖くなんてないぞ!」
へ?
「…………腋水?」
「地面の中から水が出てきてるんだ」
「へ?」
「地面の中から水が出てきてるんだ」
「へ?」
「地面の中から水が出てきてるんだ」
えっと、それだけのことなの? 水道……みたいな?




