表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソドム・パラノイア  作者: Y
I HAtE Love
122/301

113:結論を求める大人達

 会議が再開したのはそれから二時間くらいたってから。はじめる前にラドルゴさんは私に謝り、続いてみんなも謝ってくれた。正直私はもう参加したくなかったけど、こうしてまた仲間はずれにしないようにしてくれたのは、みんながごめんねって思ってくれているからのような気がするから…………断れなかった……。


「新国家ゲヴァルラギアの()ってのが気に入らねぇ。人になにか頼むなら名を名乗れって話だぜ」

「いざとなったら戦える私達ならまだしも、子どもたちを任せる相手としては全く信用できません。あの子たちの未来のためにも断るべきだと思います」


 ナターシャさんは子どもが一人もいないこの会議のときでも、子どもたちのことを考えてるんだ。なんかすごく素敵だな。(そしてなぜか私は、ドクターの膝の上に座らされている。これって子ども扱いなのだろうか?)


「それに、わざわざ私達のような()()()()()()()()に声をかける理由が見つからないのだよ。そもそも外都市がいくつかくっついた程度で、バベルと渡り合える力になるとは思えない」


 ドクターがしゃべると、声が近い。


「捨て駒にされるんじゃねぇかって思うぜ……。しかし、さっきは考えなしに発言してすまなかったな、ソドムちゃん。おかげで冷静になれたよ」

「そうだな、その通りだ。それにソドムちゃんが言ってくれたとおり、俺たちは故郷を取り返すためにがんばってきたんだ、デカイ戦争がしたいわけじゃねぇ」


 大人でも焦ったりすると、さっきみたいに普通のことが考えられなくなっちゃったりするんだね。なんか不思議だな、大人ってなんなんだろ。(ちょっと休憩しただけでちゃんと話せてるってことが、大人の証拠なのかな?)


「ゲヴァルラギアが動いたとしても、ゴモラ645がすぐに巻き込まれる可能性は立地的に低いでしょう。あの近隣には外都市は一つもありませんし」

「俺たち灰被り(シンデレラ)は誘いにはのらず、ゴモラ645の奪還を目指す。それでどうだろうか」


 ナターシャさんも、ラドルゴさんも落ち着いてる。


「わかった、それでいこ――――」

「た、大変です!」

「どうした! なにがあった!」

 

 うわ! ドアあいた! びっくりした! なんか超焦ってる人来た! あれ、さっきもこのパターンだったよね……。(ろくでもないお知らせの予感。)


「ゲ……ゲヴァルラギアからの使者がっ……直接っ……アスファルトに入れろと……今街の入口に!」

「そんな……すぐ行きます!」


 ナターシャさんとラドルゴさんと……あ……みんな行っちゃった!


「ドクター、私も行くね」

「ああ、すまないが頼む」


 もし戦うなら、私が前に出なきゃ! それに、今はドクターがつけてくれた両腕があるし!




 使者の人は、バイクにまたがっていた。ゴーグルをかけて、口元を布で隠してるせいで顔がよく見えない……。あの背中の剣……なのかな? なんか鉄の柱みたいだけど……あれで殴られたらすごく痛そう。というかこの人、一人で来たんだ。ということは……もしかして、すっごく強いのかな。


「先に言っておく。私は戦いに来たのではない」


 声的に、女の人かな。


「顔を見せてください。話はそれからです」

「ああ、失礼した。私はリディア、階級は大尉だが特に貴様らが気にすることではない」

「アスファルトのナターシャです」


 おでこから鼻の横を通って()()()()()()()()大きな傷……。なんか、目が……怖い人。


「貴様たちはゲヴァルラギアに来る気はあるか」

「ありません、私達には私達の戦いがありますので」

「女、即答だな。いい度胸だ」

「私の名前は女じゃありません、ナターシャです」


 ナターシャさん……確かに度胸ある。リディアさんとかいう人超強そうなのに、よく言い返せるなぁ。


「そうか。ならその戦いが終わった頃に話を聞きにこよう」

「あの、リディアさん。あなたはなぜ私たちのような――」 

「聞けば落胆するだろうが、構わないか?」


 ……う、なんか私を見てる。


「貴様らはバベルに属す意思のないSリーグ選手を手に入れた。それがほしい。Sリーグ選手は優れた兵器だからな」

「そんな理由を口にしながら選択させてくれるなんて、ずいぶん優しいんですね」

「何を勘違いしている? 私達は賊じゃない、軍隊だ」


 わ、私が……理由……なんだ。な、なんかごめんなさい。


()()()()()()()()()()()()()()()の結末、楽しみにしているぞ。女、貴様のこともなかなか気に入った。機会があれば私の部隊に入れてやろう」

「さきほどもお伝えしましたが、私の名前は女ではなく、ナターシャです」

「そうか。覚えておこう。名前で呼ぶ日が来るかどうかは貴様次第だがな」


 なにしに来たんだろこの人……。バイクに乗って帰ってちゃったし……わざわざ今の話するためだけに来たのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ