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ソドム・パラノイア  作者: Y
diary/:diary
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diary「FAKE」

 アリスは特別よ。穴に落とされたわけではないもの。じゃあ望んで入ったのかって? それはどうかしら。誕生日を知らない子どもたちのためにクリスマスを盛大に祝う。そんな理屈とよく似た理由だと思うわ。


 燃料、夢、差別、暴力。人はエネルギーを発するものを悪役にしたがる時がある。きっとあなただって、そういう体験をしたことがあるはずよ。悪役にした側か、なった側かはわからないけれど。

 その理屈のせいで科学的な現象は、象徴になれなければ発達を奪われてしまう。それを避ける方法は秘匿しかないと考え、夜に魂を隠した者たちがたくさんいたの。

 でも夜はつながっていた。科学者たちは優秀な目を開発し、暗闇の中で互いを見つけ身を寄せ合い融合した。もちろん反発して分離した部分もあるけれど。でもそれって仕方のないことでしょう? だって、新月の夜が訪れる確率は時計の針が進むに連れて低くなっていったのだから。

 その場で論じられたことはなにかって? そんなに難しいことじゃないわ。醜い行為であると言われながらも無機質を追求したことの罪悪について。つまり、科学者が、その会合の時だけ哲学者になったというわけ。

 でもみんなが言いたいことはだいたい、だいたいおおむね同じだったから、論争には発展しなかったの。どんな無機質も創られた本質は体温を維持するためだったってことを、誰もが強く強く思っていたから。強く強く。

 私はこう思うの。融合したせいでその思いが強くなったんじゃないかって。つまるところ、それがいけなかったんじゃないかしらって。


 そんなことをしているうちに、異質が生まれた。会合が崩壊したがって、バランスを崩し始めた頃にね。それがバベル。哲学者、錬金術師、魔術師。そうしたカテゴライズをこえてその先を目指そうとした塔の名前。哲学にとらわれているうちに神が発生し、神学となり自己批判をした結果とでも言えばいいのかしら。科学者が科学に回帰した瞬間とも言われているわ。

 つまりそれは、神を殺すための自殺。即ち実験本能。今この世界を支えているすべての動機。


 さあ、続けよう。私達の戦いを。生きるために失い、補い、叫び、生きる。


 さあ、続けよう。疑問を抱いても、不安に感じても、不満に感じても、恨んでも、恨みきれなくても、やめることができない自分を。


 あなたは誰?




 私? 私は、不思議の国のアリス。多分、偽物よ。だから今日私がしたお話は、全部嘘。少なくとも、あなたにとってはね。

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