100:HELL CAN WAIT
結局部品が足りないとかで、私の腕は一本しかつかなかった。その後、私はぐっすり眠って……今起きたとこ。なんかドクターは無害そうだったし……疲れてたし……。うん……。(気が緩んだ自分が憎らしい。)
「腕の調子はどうだ?」
「ん、ちょっと違和感あるようなないような……でも、いい感じだよ、ありがとう」
「完ぺきにしてやれなくてすまない。謝罪の代わりと言ってはなんだが……その……これを作ってみたのだが」
よく謝る人だな。
「眼帯?」
「ああ、この絵は私が描いたのだよ」
徹夜したのかな? 眠そう。
「この絵……カメラ?」
「あのカメラは大切なものなのだろう。だから良いと思ってな。ああ、気に入らないなら描いてないものも用意しているが」
「ううん、これがいい。ありがとう」
真っ黒な眼帯に白で描かれたそれ。あんまり上手じゃないし、描かれて嬉しいものではないけど……。
「似合うと思うぞ」
「そうかな」
「貸してみろ、つけてやる」
空っぽになった右目を隠す眼帯は、一人ではつけれなかった。まぁ、腕一本だもんね。そういえば博士も、私が腕一本の時はいろいろ……。
「おまえは強いな。さて、これは衣装だ」
「アリスの服?」
「ああ、これもおまえによく似合うはずだぞ」
またここで、エプロンドレスに出会うだなんて。
「あれ、違う」
「どうした? なにか気に入らないのか? 作り直すぞ?」
着てみたらサイズはピッタリ。 一晩でこれだけ作るって……手芸は、得意なんだね。
「いや、前にもアリスの服着てたんだけど……なんか色が違うなぁって」
「ああ、灰色だ。今は青空色なんかより、そんな色の気分だろうと思ってね……どうかね?」
「うん、気に入った。ありがとう」
その時、バタンと音がして誰かが来た。
「ドクター! あいつだ! またあいつが来やがった!」
「急ですまながソドム、戦ってくれるか?」
「うん、約束だし」
「無理だと思ったら逃げてくれ」
私は返事をしないまま、ドクターの家を出て教えられた方へ走る。
「キャハハハハ! リューリーちゃんがまた遊びに来てあげたのだ! 今日は何人殺そうかなー!」
「…………」
白髪、赤い瞳。私より幼いその体。
「お……おまえ……なんでここにいるのだ!」
「なんで? 私がここにいるからだよ」
ああ、新しい私のスタートにピッタリの相手だ。だって、あなたと戦えば私とラヴちゃんの実力差もわかるってことだもんね! うひひ、あなたのことはなんにも知らないけど、加減しないよ?




