#61 埋もれていた魔術書
「ちょ!ちょっとおばさん!ここは協力すべきじゃない?」
キュベはナイアに提案する。
「協力するのは賛成だけどおばさんって言うなら私一人で逃げるね!!」
ナイアは走る速度を上げた。
「おばさんはおばさんでしょ!?いいじゃない!!あの魔法もう一回やってよ!!」
「…うるさい!あんたは女の敵かい!?」
「何でそうなるのよ!?」
「女に対しておばさんは無いんじゃないのかい!?あんただってそう呼ばれたら嫌だろう!」
「…私は大丈夫だし!」
「そう思ってるのは自分だけだよ!!裏ではなんで言われてるか!」
「…そ、そんな私に限って」
「そう言われていない証拠があるのかい!?」
「……」
「影で言われてるのはまだ大丈夫!直接言われたらあんたはどう思う!!」
「……ごめんなさい、これから気を付けるわ。ゾッとした」
ナイアは速度を緩めた。
「なら、協力しようかい?そこの美人さん」
「…えぇ!一緒に戦いましょう!お姉さま!」
ナイアとキュベは急ブレーキをかけ、反転した。
二人の目の前には魔術師が迫ってきている。
しかしその目はもう人間のそれではなかった。
『ファイアーウォール』
『エクスプロージョン』
ナイアは再度二つ同時に魔法を放った。
確かに魔法は直撃していたはずだった。
事実、魔術師は左腕を失い、胴体は燃えていた。
しかしその体はまだ走ることをやめなかった。
「な!なんでぇ!?」
キュベはうろたえる。
「何か無いのかい?」
「えーっと…」
ナイアの問いかけに答えるように
『パラライズ』
キュベは麻痺魔法を唱えるが
「がぁっ!」
すぐに無効化された。
「あんた!あいつに何したんだい?」
「な、何も!普段通りよ!!」
「じゃあ、あれは?」
「元々あの人間が抱えていた闇が表に出てきたのよ!」
「ったく!本家の連中はどれだけプライドの塊なんだい!!」
『ファイアーウォール』
「逃げるよ!勇者と魔王の元に!!」
ナイアは少しでも足止めするつもりで魔法を唱え、キュベと逃げることを選んだ。
「もうすぐだ!」
「先生!!」
ラングとソフィアはナイア達の元に向かい走っていた。
「ナイアさん!しゃがんで!!」
ラングは叫んだあと、魔王の剣を横一線に振り抜いた。
剣閃が前方に飛ぶ。
「危なっ!」
ナイアはしゃがんだ。
剣閃はその後ろにいた魔術師の首を刈る。
「やったかい!?……ちぃ!まだかい!!」
相変わらず魔術師は走っている。
やがて合流した一行はその魔術師の姿に恐怖していた。
「な、何なんだい?あいつは!!」
「キュベとやら!何をした!」
「だから必要以上に何もしてないんだって!」
「じゃあ、あれは何なの?」
四人は混乱していた。
「最大魔力を出すしかないのか?」
ラングは服を脱いだ。
「その必要は無いよ」
一行の後ろに現れたトッドギースとその後ろに魔術師達が立っていた。
「…どういう意味だ?」
「…ふっ、やれ」
トッドギースの命の元に魔術師達が魔法を唱える。
『パラライズ』
異形の魔術師の動きが止まる。
「ナイアさん、これを」
トッドギースはナイアに何かで汚れた魔術書を手渡す。
「これは……」
ナイアはペラペラとページをめくり、
「ふんっ!こんなものがあったなんてね!」
「すみません、今こちらも地下から見つけてきたもので」
「まぁいいさ、やってみようかね!」
ナイアは念を込め
『プリキフェイション』
浄化の魔法を唱えた。




