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#6 魔王はまだ行けない
チマの力強い返事にニールキースはうっすらと笑みを浮かべた。
「よい返事だ」
「ラングよ、よいな?」
「はっ、チマの武勇は私も聞き及んでおります」
「チマ!よろしく頼む」
ラングはチマの目を強く見つめ、そして頷いた。
チマはまだ少し体が震えていた。
これではいけないと自分を鼓舞するように強く言う。
「はい!何なりとお申し付けください!」
「では早速、人間界に行き調査にふさわしい場所に住居を用意しておいてくれ、それにあたり人間界の地理を知っているクロを共に行かせる」
「クロ!」
クロがラングの元に来る。
「一通り聞いてはいたな?チマと共に人間界に行って調査するのに必要な住居を用意してくれ」
「はい、わかりました」
「必ずやラング様のお気に召す住居をご用意してみせます!!」
チマは気合充分だ。
かくしてクロとチマは人間界に旅立った。
住居を用意出来次第クロからラングへ知らせが来る。
ラングは思った。
「今日、行こうとしてたのにな……」