#4 魔王は報告に行く
魔王城 玉座の間
ラングは魔力を抑え込む服を着た状態でニールキースの前に現れた。
「ほぉ、見事なものよ、それなら人間界で情報収集するには困らんな」
「はっ、これでしたら問題無いかと、私の至らぬところを助けていただきありがとうございます」
「よいよい、それで今から行くのか?」
「はい、クロと共に行こうと思っております」
ニールキースは少し訝しい表情。
「クロだけか?他は?」
ラングは少し萎縮した。
「……と申しますと?」
「貴様に何かあったらどうするというのだ?」
確かに人間界に魔族、それも魔王が行って何かあった場合その時点でまた戦争になる。
ニールキースはまだ完全ではない、今戦争になっては困る事情があった。
しかしラングとしては自由に人間界に回りたいのでクロと行きたかった。
「しかし情報収集のみが目的ですので他にも連れて行ったら目立ってしまいます、それこそ目的達成に支障が出るかと」
ニールキースは頬杖をつき、考えた。
「……わかった」
「ありがとうございます!」
遮るようにニールキースが言う。
「コボルドを連れていけ」
「はっ?」
「コボルドのチマをお前につける、チマには事前に人間界に行きお前の住むところを作らせる」
「その後は必要な事があれば申し伝えるがよい」
ラングは悩んだがそこが妥協点ならと受け入れた。
そして住むところ等の事を考えていなかった事に気が付いた。
そう、ラングは少し浮き足だっていた。
「多大なるお心遣いありがとうございます」
ニールキースはチマを呼んだ。