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#3 魔王は力を抑え込む
ラングは悩んでいた。
「ダメだ、どんな方法も思いつかん、一体どうすれば……」
クロは何を言うわけでもなく部屋の外に出て行き、少し大きめのケースを運んできた。
「ん?クロ、なんだこれは?」
「魔力を抑え込む服です、これで抑え込めば人間の魔法使いぐらいと同じぐらいになると思うので怪しまれないと思います」
ラングは首をかしげた。
「クロ、これはどこから?」
「部屋の外のすぐそこに置いておいたんです」
「ん?なぜ?」
「なんかやってんなぁ、そうだ!すぐに渡さずに泳がせておこう!と思い付きまして、まぁ私は元々ニールキース様から預かってきたこれを渡しに来たんですけどね」
「なら早く渡そうか!!何を泳がせてんの?部屋中ぐるぐる回っちゃったじゃん!!」
「えぇ、滑稽でしたね」
「うるさいよ!!」
クロは頭が良いのだが少し、いや、かなり性格が悪くラングをからかって遊ぶという使い魔にあるまじき行動を取る。
しかし助言は的確で基本的に従順なのでラングもいなくては困ると思い、消さないでいる。
かくして魔力を抑え込む服を得たラングは人間界に行く準備は完了したと思っていた。