#2 魔王は人間界では浮く
ラングの部屋
「メタモルフォーゼ!!」
ラングの体を白い煙が包み込む。
「うーん、違うな、もうちょっと親しみのある姿に…」
ラングは屈強な人間へと姿を変えていた、何故かと言うとラングは人間の姿で人間界に行くべきだと考えていた。
しかし具体的な人間の姿を決めあぐね、鏡の前でかれこれ30分は経っていた。
「ラング様」
ラングはビクッとした。
「クロ!驚かせるんじゃない!!」
使い魔のクロがラングの背後から声をかけた。
クロとはラングが幼い頃に使い魔にしたカラスである。
ニールキースが魔界に帰った後に続々と魔族がゲートをくぐり魔界に帰る際に一緒に飛んできてしまったらしい。
人間界の生物であるカラスをラングはすぐに使い魔にしようと考え、自分の魔力の一部を与えた。
「ラング様、姿を変えても魔力がダダ漏れなのですぐにバレると思いますよ」
そう、ラングは魔王なのである、姿形を変えようともその周りを畏怖させるほどの魔力や圧力は変えられない。
「そうか、ダメか…」
ラングは考え込んだ、何かいい方法は無いかと。
下を向きながら部屋中を歩き回った。
しかし、これという方法は思いつかなかった。
人間界におけるラングの魔力は多大なるもので、着いた瞬間から勘づかれる危険があった。