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1-5.友達に魔法を教えましょう(4)

どうも、メリーです。

あ、ブックマーク登録してくださった、ユーザーの方々。

ありがとうございます!



1-5.友達に魔法を教えましょう(4)



 ドサッ


 その後どのくらい時間が過ぎたのであろう。周りを見渡せば、エルザとアンナしかおらず、ハヤトたちはいつの間にかいなくなっていた。

 先程の音は、エルザは疲れてしまったのだろう。本を落とした音だったようだ。

 アンナはそんな音など気に留めないようで、解読に夢中になっている。そう簡単には解読できないであろう、アルファベットはこの世界で使われていない文字なのだから。


 さて、集中力も切れたし、この後どうしようか。

 そう思っていると、足音を立てずに帰ってきたであろうナイトがアンナにアイアンクローをした。


「おい、何他人のそれを、じっと見てるんだ。マナー違反だろ」

「ナイトさんのいうとおりっす」

「え?あ、あ!ごめんなさい。つい……」


 魔法解析魔法陣は他人の魔法能力が分かってしますため、あまり他人に見せてはいけなかったのだろう。

 ハヤトはどこかボロボロになっているが、何があったのだろうか。

 必死に逃げようとするアンナは、せめて下層の文字らしいきものだけでも複写させてほしいと涙目になりながら反論する

 どの口が言ってる。この口ですーー!!


 さも何もありませんでした風に偽っているが、そういうマナーは初めに教えてほしいものだ。

 そんな目線に気がついたのか、アンナは私の方に向けていや指を立てながら言う。


「明日からは魔法を実際に使ってみあしょう」

「そうだな。まあいいだろう。お子様は、お寝むの時間だ」


 反対の手で頬を鷲掴みしていたナイトは、足がついていなかったアンナを下す。



 細腕で大人の女性を軽々挙げてしまう腕力に驚きつつ、明日も来ていいのかと喜びを露わにする。

 隣にいるエルザも嬉しそうだ。

 そうと決まれば、帰り支度を澄まして、早く帰ろう。確かにもう眠いのだ。


 お邪魔しましたと家をでて振り返る。


「この魔法陣は何でも使えるわ。貴方たちに上げるから、成長の目安として使いなさい」


 これは私からのプレゼントよと手渡われる。魔法陣の紙は筒状の木箱に入れられている。

 斜め上では、ハヤトも何かを受け取っていた。

ナイトさんが承諾したのは驚いたっすと、何やら、いなくなっていた間に商談でもあったのだろう。お礼をしている。


「それでは、明日も今日と同じ時間に教えてもらえるのですか。」

「ですか!」

「ええ。そうよ。また明日いらっしゃい。」

「それでは、明日もよろしくお願いします」

「よろしくお願いします!」

「誰もいないからと言って、如何わしいことすんなよ(笑)」

「「え?ハヤトさんって幼女趣味(ロリコン)なんですか?」っす」


 ちょうど聞こえたナイトの声に、眠く思考に靄がかかっていた私は、からかわれたハヤトに重ねるように大声を発し、一歩身を引く。

 魔法のことをいっぱい知れてうれしそうなエルザは、普段なら聞き逃すであろうことも聞きとり、興味心身に聞いてくる。


「リンちゃん、ろりこんって何?」

「それはね「知らなくていいっす!」」


 何を言っているのだろうと思いつつ、人差し指を立て、ハヤトさんみたいな、幼い女の子が好きな人のことだよという。その両方を、ハヤトが被せてきた。私の声は聞こえなかったはずだが、ハヤトは口の動きから読み取ったのだろう。空いている手を胸に当てた。


「それに自分は紳士っす!」

「ろりこんって何!!!教えて――――!!!」


 アンナが素早く対応し、エルザの教えてコールは収まった。

既に眠く意識朦朧としてきた私は、他のことを考える余裕もなく、半分夢の中だった。



そんなリーンは無意識にハヤトの手を掴み、目を擦りながら帰途についた。




 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢




「あなたが、反対しないなんて、どういう風の吹き回しかしら。」


 リーンたちが帰った後。

 アンナたちは自宅に戻り、就寝に取り掛かっていた。


「『ウィンド』」


 アンナが魔法を使うと、濡れていた髪は、水気が風で飛んでいき、サラサラとした髪になる。

 その様子を見ていたナイトは、武器の手入れも魔法で出来たら楽なのにと思いつつ、丁寧に武器や防具の手入れの続きをしていく。


「そうか?」

「そうよ。ついさっきまで、駄目だとかいってたじゃない」

「ああ、今まで様子を見てきたけど、俺の思い過ごしだけだと判断したからな」


 ナイトは、ここ最近のリーンの様子から、考えていた危険性が低いものだと結論づけていた。 

 リーンの存在能力は、目を見張るものがある。それを才能と見るべきか、危険因子と見るべきか悩んでいたのだ。


「へー。何か秘密でも分かったのかしら、ストーカーさん」

「それは、昔の話だろ」

「いいえ、この前もしていたじゃない。私が気づかないとでも思っていたの」

「それは、アンナを心配してだな」


 リーンのような、得たいのしれないものが愛するものに近づいていたら、男なら守ろうとするのが当然だろう。

 口下手な彼は、行動で移して、守るべきものを守ってきた。

 そんな彼だからこそ、彼女は口で言ったことを話し半分で聞いていた。


「はいはい。そういう事にしといてあげます」

「まあ、あいつは大丈夫だろ」

「ふーん」

「今までは言うべきではないと思っていたけど……」


 一拍おいてから、放たれた言葉は、アンナを驚かせるには十分なものだった。




――リーンは、生後間もないころ、レベル3だった。





 レベル。戦闘などによって経験値を一定以上貯めると次のレベルに上がり、各ステータスが上昇する。レベルキャップは不明だが、この世界の人々は上限を1000と定めている。種族、職、スキル、経験などにより成長補正は様々だが、1つだけ共通するものがあった。

 それは、魔物も人も変わりなく、|生まれた時はレベル1≪・・・・・・・・≫ということだ。

 レベル1から始まるのが当たり前の世界で、レベル3からのスタートは、才能を通り越して異常といっていいだろう。

 アンナはいきなりのカミングアウトに驚きつつ、とんでもない娘の先生をお願いされたなと、天を仰いだ。


「何で、そんな大事そうな話を黙っていたのよ!」

「今、言っただろ」

「そういう事じゃなくて!――」


 ナイトとアンナはまた、痴話げんかする。


 そんな話の中心人物と秘密があると知らないもう1人の仲間は、夜道を歩いている。


 歩いているのか?



 2人が、言い争っているとはつゆ知らず、ハヤトはエルザを家に届け、お荷物と化したお子様をどうにかしようとしていた。


「自分が呼ばれた理由は、こういうことっすっか」


 つい今しがたまで、


「リンちゃんまた明日!」

「エルザちゃんもまた明日!」


 と、元気に言った後、ハヤトと他愛のない会話をしていたというのに、現在は一言も発しない。

 基本的に、動くか話すかしているのがリーンなのだ。

 突然だまってどうしたッすかと見てみれば、リーンは直立したまま夢の世界に旅立っていた。

 

 つついても起きない、揺さぶっても起きない。頬を引っ張っても起きない。


 さてどうしたものっすかねとハヤトは、別の意味で天を仰いでいた。




星が綺麗っすと現実逃避するもを止めたハヤトは、閃いた方法を試すことにする。

お姫様抱っこしてみたり(リュウさんに殺されそうっす)、荷物みたいに腰の横で持ってみたり(これは意外と重いっす)、おんぶしてみたり(涎が肩にかかるっす)、肩で担いでみたり(これは良さげっすね)していた。

 星空の下、独り言を愚痴りながら、リーンを肩で担ぐ。

 しょうがないっすねというハヤトの顔は、頬が上がっていた。





 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢




 そんな感じで、リーンの日常に、魔法の訓練が加わったある日の事。


「さあ、いらっしゃい」


 月に一度訪れる商人たちが、村長宅前の広場でそれぞれ商品を販売している。

 ほとんどの者が、大きな布を地面に引き、その上に商品を並べているのだ。

 商品には、薬草、ポーション、魔石、魔道具、魔法のスクロール、武器、防具、調理道具、食べ物、保存食から、日常で便利な道具など、村で売れそうなものがたくさんある。

 主婦たちは、商人相手に、もう少し安くしてくれと言いつつ、買い物を楽しんでおり、男たちはごく少数いる程度だ。まあ、私を含めて母さんたちの荷物持ちなんですよね。

必要な買い物が終わると、母さんは弟を連れてご近所さんたちと一緒に、再び買い物に行った。


「私も、買い物に行きましょう」

 

遊びなど限られている村だ。月に1度のこれは、いわば、一種の誘惑と言っていいだろう。

 エルザを連れて、ぶらぶらと周ろう。


「エルザちゃーん!商人たちところに行きましょうーー!」


 エルザの家をノックして訪ねていると、周囲から視線が突き刺さった。

私が何かしたのだろうか。

 村のおっさんたちが、ひそひそ話しながら、こちらを見ていた。


――ふっ。メイドとして読唇術ぐらいできるのですよ。


『おい、まさか気づかれたわけじゃないよな』

『そんなわけないだろ』

『そうか?』

『気づいてたら、とっくに動いてるだろ。おい、こっち見てるぞ』

『っは、はやく行こうぜ』



 はて?何の話でしょうか?

面白そうな話なら混ぜてほしいものです。彼らは確か、ガルヴィーとサンニュですね。後で時間があれば探してみましょう。



 ギギー


 扉の開く音が響き、中から何かを押しながら出てきたエルザ。


「さあ!行きましょう!リンちゃん!」

「えっと、お金あまりないから、ぶらぶら見て回ろうと思ってたんだけど……」


 いつもと違い、荷台や、大きな鞄など、買い物に行くにしては重装備な格好をしていたため、驚きと戸惑いで何を言えばいいのか分からなかった。


「えっ!?」


 目を白くしながら、時が少しの間、止まっているように感じていると、あわててエルザが戻っていく。

 鞄を背負った軽装で出てくると、私の手を引いて、駆け出した。


「ちょっと!」

「ふーんだ!」


 村長の家が近くなってくると、次第と走る速度も落ち、頬を膨らませる。


「もう、リンちゃん。そういう事は先に言ってよね」


 エルザも先程まで荷物持ちをしていたのだろう。商人と聞こえて、てっきり買いこむかと先入観が強かったようだ。


「いつも、ぶらぶら回っているでしょう」

「そうだけどさ~。魔法の練習に適した素材とか売っていたじゃない!」

「そうですね。魔石とかスクロールとかがあったので、そこにも行きましょう」


 私はエルザの手を引いて人混の中に入っていた。



 可愛い定員がいるとエルザが抱き着いたり。


『あの商人見習いの子可愛いくない!!』

『ちょっと、エルザ!可愛いからといって抱き着かない!』


 服を見たり。


『この服に合いそう!』

『こっちもいいですよ!』


 パンケーキみたいな、ふっくらとしたお菓子を食べたり。


『このお菓子おいしい』

『ええ、贅沢な品です』


 いくつもの武器を試しに使ってみたり。


『この武器、金貨4枚だって!』

『確かに言い武器ですが、素人の私に扱うのは難しいですね』

『ちょっと!嬢ちゃんたち!!振り回さないでおくれ!!!』


 防具の装着の仕方と、敵が使っていた時の対処方法を説明したり。


『この防具どうやってつけるんだろう?』

『この系統の防具は、ここをこうすると付け外しができるんですよ。』

『わー!本当だ!』

『ちなみに、ここを攻撃すれば、簡単に壊れます』

『俺やっぱこっちにするわ』

『俺もそうしようかな』

『……まいど……』


 ポーションの品質や作り方を鑑定で見てみたり。


『ポーション銀貨1枚だって!』

『このポーションは水増しポーションですね。品質の割に回復量が少ないです。』


 どうせなら、自分でメイド服を作ろうと、必要な物を購入したり。


『リンちゃん、そんなもの買って、何に使うの?』

『どうせなら、自分で服を作ろうと思いましてね。あ、オジさん。この黒い布とこの白い布をそれぞれ1ロール、こちらの糸を3つ、後この針セットをください』

『黒い布が銅貨50枚、白い布が銀貨1枚、糸は銀貨1枚にまけといてやるよ。針は銀貨4枚だ。ほい確かに銀貨6枚と銅貨50枚だね。もし、出来栄えがよくて売るとしたら、家に売ってくれよ。』


亜空間の魔法の鞄を手に入れたりした。


『亜空間ボックスだと!?お!おじさ、いや!商人様!この鞄はおいくらですか!』

『お嬢ちゃんよく見つけたね。鑑定持ちかい。訳ありの物でね』

『ごくり』

『有名な錬金術士が作ったものなんだが、あ!そっちの嬢ちゃん。うちの商品に勝手触らない方がいい。ここにある商品は全部何らかの呪いがある。』

『ここにある品全部、鑑定をしてくれるのなら、その鞄をただでやってもいい』


 思わぬものをただで手に入れた私は、ホクホク顔で鞄を抱きしめながら、次の店を見て回った。




 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢




~おまけ~


<神風店長?>



 時は戻り、アンナから初回のプレゼントをもらった翌朝。

就寝前の約束を果たせなかったリーンは、母親の様子を伺っていた。


――約束が守れないのは、メイドとして失格です。まずは、母さんにどう話しかけるべきか……


 疲れ切っていたリーンは、夜中の日課をする元気もなく、朝日が昇るまで爆睡していた。


「リーン」

「は、はい!」

「昔からよく寝る子でしたもんね」


 怒られると思い身構えていたところに、優しい眼差しで微笑む母さんのことを、神風店長と間違えたとかいないとか。








お金のなるところに商人は集まる。



Q.ハイリスクである周辺の村までくるハイリターンはあるんでしょうか。

A.あります。


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