61 ミニゴーレムの集会場
透き通る秋空に、巨大なゴーレムが割って入っていた。
その足元にはミニゴーレム達がじゃれあい、周囲には侍ゴーレムと狼ゴーレム達が見廻りをしている。
「ふう、こんなもんかな」
「ふむ。壮観じゃ」
「…………な。ななななななななななな何なんです?! 大きい! 大きすぎです! 巧魔氏の魔力量ってどうなってるんですか?!」
千春さんはそう言いながらG・ゴーレムの足に抱きついている。何故に抱きつくのだ。
「魔力量は分からないですね。最近は魔力の枯渇を感じたことが無いので」
「え?! それは今もですか? これを作っておきながら?!」
千春さんにこれ呼ばわりされたゴーレムは体長15メートル。バケツのような簡単な作りの頭に丸い目がふたつ。どこか遠くをボーッと見続けている。
「まあ。まだ何体か作っても平気だと思いますけどね」
「師匠! あり得るんですかそんなこと?!」
「そりゃあ在るんだから有り得るが。……巧魔君が敵じゃなくて本当に良かった」
「で、何なんじゃこれは? 『作りたい物がある』と言って馬車を止めたと思ったら、みょうなもんを作りおって」
みょうなもんって。酷い言われようだな。
「龍都から森谷村へ仕入れ用の武器ゴーレムを送ろうと思うんだけど、ここはその中継地点になるんだよ。ここでミニゴーレム達が補給を行う。だが、肝心のミニゴーレム達が魔力を切らしてしまっては元も子もない。そこでこいつを作ったんだ」
「ああ、ミニゴーレム達の補給用と言うわけか」
「こいつは歩けない変わりに巨大な魔力タンクを持っている。魔力を補充しなくても一年は可動するだろうね」
これから遠征する機会が増えるのであれば、いろんな場所にこいつを設置する必要があるだろうな。
作業を終えた俺たちは馬車に乗り込み、龍都への遠征を再開した。ミニゴーレム達は見えなくなるまで手を振っていた。かわいい奴等だ。Gゴーレムも手を振っていたが、こっちは腕が飛んでいきやしないかとどぎまぎものであった。