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56 一陣の風

≪マスター、落ち着いて下さい。ちゃんと着地をすれば大丈夫です≫


「そ、そんな事を言われてもっ」

 空中に投げ出された俺の体は、ついに落下を始めていた。

 スカイダイビングの死亡率100%バージョンだ。これが落ち着かずにはいられるか。


≪足から着地をすれば大丈夫です≫

「……頭から着地をしたら?」

≪……マスター、私はあなたと出会えて幸せでした≫


 をぉぉおーーい! 最後のセリフみたいなのやめてもらえます?!!


 とりあえず俺はプッシュ・ウィンドウを発動、着地に備える。


≪補助スキル、クラス自動発動を獲得致しました≫


「今それどころじゃないから! レフト、ライト、ライト、いやバック!」

≪失礼≫


地面は目の前。プッシュウィンドウで体制を整え、何とか足から地面へ着地できる態勢を整える。


「落ちる! 大丈夫なんですよねコン先生?!」

≪舌を噛みますよ。構えて≫


 地面が暴力的な速度で近づいてくる。

 思い出せ、あのころに読んだ漫画を、五点接地転回法 だ! 懸念は俺がグラップラーでは無いということ!


 と、その時一陣の暴風が吹きあがる。


「ぐおぉぉ! 何だ?!」

≪警告。膨大な魔力の発露を検知致しました≫


 あまりの風に息は出来ず、俺はミキサーにぶち込まれたフルーツの如く振り回された。

 気が付けば俺の頬に固く冷たい何かが食らいついている。

 いや、それは地面だ。いつの間にか俺は地面に横たわっていたらしい。


「大丈夫巧魔くん?!」


 乙葉がこちらに駆け寄ってくる。 


「あ、ああ大丈夫――」

≪マスター、警戒して下さい≫


 は? 警戒? 何を言っているんだコン先生は。……まさかさっきの衝撃で壊れたんじゃあるまいな?



「た、巧魔くん、どこか痛いの?! 死んじゃダメなんだよ!!」


 乙葉に肩をがっしりつかまれて俺の頭がグラグラと揺らされる。


「だ、大丈夫大丈夫。心配かけてごめんね乙葉。あ、千春さんもご心配かけてすみません……?」


 千春さんの方をみると、唖然として目を丸くしていた。いったいどうしたんだろうか?


「む、無詠唱だなんて。そんなのあり得る筈が……」


「あり得るかどうかは、頭で考えるのではなく、目の前で現象が起きているかどうかで考えろ。今お前が目で見たのであれば、それが現実だ」


「え?! 師匠?」

「エマニエルさん!」


 この人はいつも突然現れる。外套を羽織ったエマニエルさんがにこにことこちらを見ていた。

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